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健保ニュース 2022年6月上旬号

医療保険部会でオン資導入を議論
厚労省 保険証発行の選択制を提案

厚生労働省は5月25日の社会保障審議会医療保険部会(部会長・田辺国昭国立社会保障・人口問題研究所所長)に、医療機関等へのオンライン資格確認等システムの導入に向け、保険証発行の選択制導入や医療機関に対する原則義務化など3点の「更なる対策」を提案した。政府が掲げた「令和5年3月末までに概ね全ての医療機関・薬局での導入をめざす」目標の達成を図る。

対策の1点目は、目標の期限直後の5年4月から、保険医療機関・薬局におけるシステム導入を原則、義務化する。

2点目は、医療機関等のシステム導入と患者のマイナンバーカードの保険証利用(マイナ保険証)が進むよう財政措置を見直す。患者がマイナ保険証により受診した場合に4年4月から診療報酬上の加算が設けられたが、医療機関等の収入が増える一方で患者の負担は増加し、マイナ保険証の利用や普及の足かせになる課題を踏まえた。加算の取り扱いや1点目の対策で必要となる療養担当規則の改正は、中医協で検討する。

3点目は、6年度中を目途に保険者が保険証発行を行わないことを選べる選択制の導入をめざす。さらに加入者からの申請があった場合を除き、保険証の原則廃止も視野に入れるが、訪問看護や柔道整復など保険証を利用している機関のオンライン資格確認導入状況等に配慮する。健保法施行規則などで定められた保険証の発行義務は、廃止。保険証がない場合の給付申請の取り扱いは、今後検討する。

医療機関・薬局におけるシステムの導入状況は、5月15日時点で①顔認証付きカードリーダー申込施設が全体の57.9%②準備完了施設が同24.7%③運用開始施設が同19.0%。システムが本格運用を開始した3年10月20日から②は15.8ポイント、③は13.9ポイント上昇した。これに対し、①は1.6ポイントの上昇にとどまり、導入の第1段階にあたるものの6割弱で足踏みしている。

①の施設が4年度中に運用開始するには遅くとも9月頃までの申し込みが必要とされ、厚労省は4年度上半期に個別施設への架電による働きかけ、個別ダイレクトメールなどによる周知を行うこととしている。加えて①、②の施設には、地域単位説明会やシステム事業者を通じた働きかけを行い、②の施設には導入状況を踏まえた個別メール送付なども行う。

4年度末までの目標達成に向け、新たに9月末時点の中間到達目標として、導入率を概ね5割(約11.5万施設)と設定。4月の導入ペースをもとに機械的に試算した導入率から12ポイント引き上げる。10月以降は毎月平均1.9万施設(9月までは0.9万施設)ペースでの導入により目標達成をめざす。

健保連の佐野雅宏副会長は、システム導入に関しこれまで要望してきた▽基盤整備のスピードアップ▽運用施設数が一定割合に達するまでの間の公費支援▽オンライン資格確認を使用するメリットの周知、拡大─について説明したうえで発言。保険証の発行選択制や原則廃止について、保険者の業務負荷の軽減にメリットがあると評価した。

そのほか中間到達目標の設定や個別施設への働きかけなど集中的な取り組みに賛同した。特にシステム導入義務化については、国策として既に費用投入されているとして、「当然」と支持。医療界に導入に向けた協力を求めた。

松原謙二委員(日本医師会副会長)は、システム導入義務化について、コロナ対応や対応機器の供給不足を理由に「拙速」と主張し、反対した。

医療情報基盤の検討
保険者の参加を要請
佐野副会長

健保連の佐野雅宏副会長は5月25日の社会保障審議会医療保険部会で、医療情報ネットワークの基盤に関するワーキンググループで予定している構成員の見直しにあたり、保険者からも構成員を選出するよう求めた。

WGで検討している電子カルテ情報を閲覧する基盤には、保険者が費用負担しているオンライン資格確認等システムネットワークの活用が見込まれている。

一方でWGの構成員9名は、ほぼ医療関係団体の代表者や学者が占める。その親会議の健康・医療・介護情報利活用検討会においても同様の構成となっており、いずれも保険者関係のメンバーは参加していない。

WGでは今後、構成員の見直しを予定しているが、保険者の費用負担が提案された場合、当事者不在で議論が進む事態を避けるためには保険者が参加する必要が生じる。

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