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健保ニュース 2022年5月合併号

自民・PTが健保連からヒアリング
システムの費用負担など提言
佐野副会長 国や医療機関の負担検討も

自民党の社会保障制度調査会・デジタル社会推進本部健康・医療情報システム推進合同PT(平井卓也共同座長)は4月19日、医療情報システムにおける診療報酬改定について、健保連などからヒアリングを実施した。

健康・医療情報システム推進合同PTは、これまで実施してきたヒアリングで明らかになった問題点を踏まえ、改革の全体像やガバナンスのあり方、費用負担などへの方針を提言し、「骨太の方針2022」への反映をめざす。

この日の会合では、医療情報システムにおける診療報酬改定について、健保連、社会保険診療報酬支払基金、保健医療福祉情報システム工業会からヒアリングを実施した。

健保連の佐野雅宏副会長は、データヘルス改革と医療のデジタル基盤活用について、▽患者の状態をより正確に把握▽重複投薬防止▽医療の透明化・標準化が進展─など、「医療の質向上と効率化にとって重要である」と指摘し、基本的に賛成との意向を示した。

そのうえで、①診療報酬改定のシステム変更負荷の軽減②電子カルテ情報の共有推進③費用負担─の3点を今後の対応に向けての課題・要望として主張した。

このうち、①は、共通算定プログラムの内容や機能の明確化を課題に位置づけ、開発運営主体の検討や、医療機関、ベンダー、審査支払機関、保険者における具体的な効果を明示するよう要望。

②は、基盤となるオンライン資格確認の導入が遅れているなか、医療機関側での導入・活用に向けた道筋を示したうえで、今後どのような費用が必要になるのか、導入により医療機関、患者等にどのような影響があるのかを含め、具体的効果を把握する必要があるとした。

さらに、③は、①と②に共通する問題として、保険者にとって具体的効果が見えないなか、開発・運用費用を保険者負担とすべきではないと訴え、国や医療機関等の負担とする検討も必要と強調。

保険者はオンライン資格確認システム等の運用経費(年間約40億円。今後電子処方箋の負担が追加)、診療報酬改定による審査システム改修(毎回約10億円)、審査支払システム刷新(約230億円)など大きな負担を負っている一方、「共通算定プログラムによるコスト軽減・医療機関経営の合理化はベンダーや医療機関が受益者である面がある」と指摘し、保険者の負担を軽減するよう求めた。

支払基金は、診療報酬請求にかかる「共通算定プログラム」に対し、▽診療報酬改定対応に伴うベンダーや医療機関等のコストを下げることは重要な課題▽保険者の委託を受け審査を行う立場から、対応できることに最大限協力─との考えを示したうえで、「費用負担」や「開発スケジュール」などを開発に向け整理が必要な事項とした。

このなかで、「費用負担」のあり方については、「支払基金は、保険者の委託を受けて、医療機関から請求されたレセプトの迅速適正な審査支払を行うことを任務としている」とし、「レセプト作成そのものを目的とするシステム開発について、審査支払手数料を財源に実施することは保険者の理解が得られない」と指摘。医療機関の負担、ベンダーからの拠出、国費など考え方の整理が必要とした。

また、「開発スケジュール」は、診療報酬改定の施行時期(現行4月)についても検討が必要としたほか、2026年4月を目途に支払基金と国保で審査支払システムの共同開発に取り組むとされていることとのスケジュール上の調整が必要とした。

保健医療福祉情報システム工業会は、▽診療報酬情報デジタル化▽診療報酬算定モジュール▽診療報酬改定作業ピーク抑制化─によりコスト改善などが実現できるとし、産官学で協力し推進していく考えを示した。

出席議員からは、▽診療報酬改定の頻度や施行時期を見直すべき▽受益者負担でなく、公費負担の仕組みにしないと進まない▽メリットを「見える化」しないと国民に費用負担してもらえない▽保険者の費用負担が軽減される道筋を示すべき─等の意見があがった。

健康・医療情報システム推進合同PTは、これまでの6回に及ぶヒアリング結果から問題点を再確認したうえで、5月を目途に方針を取りまとめる意向を示した。

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