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健保ニュース 2022年5月合併号

令和4年度健保組合予算早期集計
コロナ影響拠出金減も 経常収支2770億円の赤字
平均保険料率は過去最高を更新

健保連は4月28日、厚生労働省内で記者会見を開き、令和4年度健保組合予算早期集計の結果を発表した。4年度の健保組合全体の経常収支差引額は2770億円の赤字となる見通しで、赤字組合数は全組合の約7割を占める。平均保険料率は前年度比0.03ポイント増の9.26%で、過去最高を更新。145組合が保険料率を引き上げ、協会けんぽの平均保険料率(10%)以上の組合は306組合と全体の2割を超える。高齢者拠出金は、2年度の新型コロナ感染拡大による高齢者医療費減の精算戻り等の影響で、前年度比2080億円減少した。佐野雅宏副会長は、「5年度以降は、一時的な拠出金減少の反動に加え、団塊世代の75歳到達により後期高齢者支援金が増加局面を迎える」と見通し、「高齢者拠出金が急増することは必至であり、急激な財政悪化が予想される」と危機感を表明。現役世代の負担軽減と世代間の公平性確保や、安全で効率的な医療提供体制の実現などの見直しが必要と強調した。

4年4月1日現在の健保組合数は、前年度と同様の1387組合で、4年度予算早期集計は、報告のあった1358組合の財政状況を推計したもの。

被保険者数は1659万3467人で前年度に比べ6万9249人(0.4%)増加。被扶養者数は1206万1673人で同16万5742人(1.4%)減少した。

保険料の基礎となる被保険者1人当たり平均標準報酬月額は37万7846円で、同5060円(1.4%)増加。平均標準賞与額は同7万7738円(7.5%)増の111万9453円だった。

標準報酬は前年度からみると回復基調にあるが、新型コロナ感染拡大前の元年度決算と比較すると、月額0.1%減、賞与額5.1%減と依然として低い水準のままとなっている。

収入総額の99%を占める保険料収入が8兆2723億円と、同2628億円、3.3%増。経常収入は8兆3869億円で、同2654億円、3.3%の増加となった。

支出面をみると、保険給付費は4兆5348億円で、同2379億円、5.5%の増加を見込んだ。
 他方、高齢者等拠出金は同2080億円、5.7%減の3兆4514億円で、後期高齢者支援金は1兆9956億円(前年度比211億円、1.0%減)、前期高齢者納付金は1兆4555億円(同1871億円、11.4%減)となる。

新型コロナ感染拡大の影響に伴う2年度の高齢者医療費の一時的な減少により、2年後の高齢者拠出金精算時の返還額等の影響を受けた。

4年度限りの一時的かつ極めて異例な減少であり、5年度以降は、一時的な拠出金減少の反動に加え、団塊の世代が75歳に到達し始めることにより、後期支援金が増加局面を迎え、拠出金全体の急増が見込まれる。

このほかの支出では、保健事業費4483億円(同73億円、1.7%増)を計上し、経常支出全体では8兆6638億円(同394億円、0.5%増)となった。

この結果、4年度予算の経常収支差引額は2770億円の赤字となった。
 赤字組合は同105組合減の963組合(全体の69.5%)、黒字組合は同105組合増の423組合(同30.5%)で、組合全体の約7割が赤字となった。

145組合が料率上げ
協会以上は2割超

4年度予算における平均保険料率(調整保険料率を含む)は9.26%で、前年度に比べ0.03ポイント上昇し、過去最高を更新した。被保険者1人当たり保険料負担額は同1万2305円増の49万8366円だった。

保険料率を引き上げた組合は145組合、引き下げた組合は109組合。協会けんぽの平均保険料率(10%)以上の組合は306組合で、全体の22.5%を占める。

また、収支均衡に必要な財源を賄うための実質保険料率は、平均保険料率を0.59ポイント上回る9.85%となる見通しとなった。

義務的経費の拠出金割合
176組合は50%以上

保険給付費と拠出金を合わせた義務的経費に占める拠出金の負担割合は43.8%(後期高齢者支援金25.3%、前期高齢者納付金18.4%)で、176組合は50%以上を占めた。

介護保険料率1.78%
料率引き上げ組合は2割

4年度予算の平均介護保険料率は1.78%で、前年度に比べ0.02ポイント増加した。1人当たり保険料負担年額は11万4470円で、同2113円、1.9%増となった。

介護保険料率を引き上げた組合は233組合(全体の17.2%)、引き下げた組合は173組合(同12.8%)。また、全体の5割以上を占める730組合が1.8%以上の料率を設定した。

令和4年度 健康保険組合 予算編成状況について -予算早期集計結果の概要-(PDF)

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