健保ニュース
健保ニュース 2022年4月下旬号
財務省が社会保障改革の方向性を提言
かかりつけ医機能の制度対応を
リフィル処方普及促進 保険者インセンティブ活用
財務省は13日、社会保障の今後の課題と改革の方向性を財政制度等審議会の財政制度分科会に示した。
医療分野では、効率的で質の高い医療提供体制の整備に向けて、「かかりつけ医機能」の要件を法制上明確化したうえで認定するなどの制度的対応が不可欠とし、利用希望者による事前登録・医療情報登録を促す仕組みの導入について、段階を踏んで検討するよう提言。
さらに、令和4年度診療報酬改定で導入した「リフィル処方箋」は、患者・国民目線から積極的活用が図られるべきと強調し、積極的な取り組みを行う保険者について、各種インセンティブを活用し評価していくべきと訴えた。
この日の財政制度分科会は、社会保障をテーマに議論し、財務省から社会保障総論や医療・介護分野における今後の課題と改革の方向性が明示された。
社会保障総論では、給付は高齢者中心、負担は現役世代中心となっている構造を問題視し、将来世代も対象世代として組み入れたうえで全世代型の社会保障への転換を図るべきと提言。財政健全化と持続可能な社会保障制度の構築の双方を達成していくことが重要とした。
医療分野では、医療給付費の適正化に向けて、▽医療提供量の適正化(効率的で質の高い医療提供体制の整備、患者負担を含めた医療技術や医薬品等にかかる保険給付範囲の見直し)▽公定価格の適正化(診療報酬改定、薬価改定)▽自律的なガバナンスの発揮・強化(保険者機能の発揮・強化など)─を重視し、持続可能性の確保に向けた制度改革の視点に位置づけた。
このうち、「効率的で質の高い医療提供体制の整備」では、外来医療について、コロナ禍の教訓を踏まえると、「量重視」のフリーアクセスを「必要な時に必要な医療にアクセスできる」という「質重視」に切り替えていく必要があると問題提起。
そのうえで、▽地域の医師、医療機関等と協力▽休日や夜間も患者に対応できる体制を構築▽在宅医療を推進─といった「かかりつけ医機能」の要件を法制上明確化し、これらの機能を備えた医療機関を「かかりつけ医」として認定する制度的対応が不可欠と明記した。
こうした「かかりつけ医」に対し、利用希望者による事前登録・医療情報登録を促す仕組みの導入について、段階的に検討を進めていくべきとした。
他方、「診療報酬」では、医療費効率化効果を改定率換算で▲0.1%(医療費470億円程度)と見込んだうえで、4年度改定で導入した「リフィル処方箋」は、通院負担の軽減、利便性の向上といった患者のメリットが大きいのみならず、効率的で質の高い医療提供体制の整備にとっても「画期的な前進」と評価。
外来医療の実態として、長期にわたり内容に変更がない処方(長期Do処方)が多いなか、患者・国民目線から「リフィル処方箋」の積極的活用が図られるべきと明記し、「再診の効率化による医療費適正化効果を着実に達成すべきことは当然」との考えを示した。
患者の希望、ニーズの充足を阻害する動きなど運用面を含むフォローアップの徹底や制度の普及促進に向けた周知・広報のほか、積極的な取り組みを行う保険者に対して、後期高齢者支援金の加算・減算など各種インセンティブ措置を活用し評価する対応を盛り込んだ。