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健保ニュース 2022年3月中旬号

令和4年度薬価基準改定を告示
新創加算 返還額が340億円上回る
企業区分Ⅲの対象は3倍増に

厚生労働省は4日、令和4年度薬価基準改定を官報告示した。
 薬価調査にもとづき薬価基準を全面改定し、4月以降に医療保険から給付される医薬品は内用薬7740品目、注射薬3523品目、外用薬2081品目、歯科用薬剤26品目の合計1万3370品目となる。

医療費ベースの改定率は▲1.35%(実勢価等改定分▲1.44%、不妊治療の保険適用のための特例的な対応分0.09%)、▲1.44%の薬剤費ベースの改定率は▲6.69%だった。

市場実勢価格にもとづく薬価引き下げを猶予・緩和する「新薬創出・適応外薬解消等促進加算」は、348成分571品目に適用。加算総額は520億円で、335成分555品目に加算を適用した2年度薬価改定時の770億円から減少する一方、351成分593品目に加算を適用した3年度毎年薬価改定時の470億円から増加した。

一方、後発医薬品が上市された製品など「新創加算」の要件を満たせずに、これまで受けた累積加算額を控除される対象は65成分145品目。返還額は860億円となり、加算額が返還額を大きく下回った。

これまでの「新創加算」の加算額と返還額をみると、▽平成28年度(加算額1060億円、返還額▲360億円)▽30年度(同810億円、同▲650億円)▽令和2年度(同770億円、同▲750億円)─の状況で、加算額は減少傾向、返還額は増加傾向にあった。

3年度の毎年薬価改定では、「新創加算」の算定ルールについて、元年10月の消費増税改定と同様に、加算を適用する一方、累積加算額の控除は適用せず、4年度薬価改定まで1年間、返還を保留した。加算と返還の差額は▲340億円に達し、初めて返還額が加算額を上回った。

「新創加算」の対象企業は90社で3年度薬価改定時の87社から3社増加。研究開発の積極性に応じた3段階の評価で、薬価が維持される「企業区分Ⅰ」が22社(全体の24%)、薬価に0.9を乗じる「同Ⅱ」が47社(同52%)、薬価に0.8を乗じる「同Ⅲ」が21社(同23%)だった。

4年度薬価改定では、「新創加算」の適正化として、加算係数が「0.8」と最も低い「企業区分Ⅲ」の対象範囲を企業指標にもとづく現行の「0pt」から「2pt以下」に拡大し、企業数のバランスを見直した。

3年度毎年薬価改定時の▽企業区分Ⅰ21社(全体の24%)▽同Ⅱ58社(同67%)▽同Ⅲ8社(同9%)─から、「企業区分Ⅲ」の対象は3倍近く増えた。

他方、後発品収載から10年以内で後発品置換率が80%未満の長期収載品の薬価を置換率に応じ▲1.75~▲2%を特例的に引き下げる「Z2」は、58成分137品目が対象となった。

後発品収載10年経過後から薬価を引き下げる長期収載品の対象は465成分1001品目。
 このうち、後発品と同じ薬価まで段階的に引き下げる「G1」は109成分267品目、後発品薬価の1.5倍まで段階的に引き下げる「G2」は104成分192品目、「G1・2」による引き下げを受けない品目等を「Z2」の基準を準用して補完的に引き下げる「C」は252成分542品目となる。

2年度薬価改定では、後発品への置換率が80%以上となった長期収載品は、その2年後の薬価改定時に置換率が80%以上となっていることを再確認したうえで「G1」ルールを前倒しで適用する見直しを行ったが、4年度薬価改定ではアレルギー性疾患治療剤「アレグラ」など18成分54品目に適用された。

医療上必要性が高い医薬品として、最も販売額が大きい銘柄に価格を集約し安定供給を確保している「基礎的医薬品」は331成分1091品目が対象に該当し、3年度薬価改定時の306成分823品目から大きく増加した。

このうち、4年度薬価改定で、一定の要件のもと「基礎的医薬品」として取扱うこととした「安定確保医薬品」は8成分87品目が対象となった。

市場拡大再算定と用法用量変化再算定による引き下げでは、23成分41品目を適正化する。

通常の市場拡大再算定は、17成分33品目に適用し、眼科用剤「アレジオン」は現行薬価から約20%の引き下げとなる。

特例が適用される4成分6品目のうち、消化性潰瘍用剤「タケキャブ」は約16%の値下げ。

用法用量変化再算定を適用する末梢神経系用薬「ビンダケル」とその類似品「ビンマック」の2成分2品目は、現行薬価からそれぞれ約75%、約77%の引き下げを受ける。

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