健保ニュース
健保ニュース 2022年3月上旬号
令和3年度上期の概算医療費
前年同期比6.2%増の22兆円
コロナ前と比べ0.6%上昇
厚生労働省はこのほど、「最近の医療費の動向(メディアス)」令和3年度9月号を公表した。3年4~9月の3年度上期概算医療費は21.8兆円で、前年同期比6.2%上昇。新型コロナウイルス感染症に伴う患者の受診控えなどが影響した2年度上期の同5.2%減から反転し、概算医療費は1.3兆円増えた。他方、医療費に大きな変動がなかったコロナ禍前の元年度上期と比較しても、前々年同期比0.6%増の0.2兆円増加しており、3年度下期の動向が注視される。
令和3年4月から9月の3年度上期概算医療費は21.8兆円で、前年同期と比較し6.2%増加した。休日数などの違いによる影響を補正すると、同6.1%増となる。
新型コロナウイルス感染症に伴う患者の受診控えなどの影響が直撃した2年4月から9月の2年度上期概算医療費(前年同期比5.2%減の20.5兆円)と比べ1.3兆円増加した。
他方、コロナ禍前の元年4月から9月の元年度上期概算医療費(同3.3%増の21.6兆円)と比較しても、前々年同期比0.6%増の0.2兆円増加。医科入院(前々年同期比1.4%減)と調剤(同0.7%減)が減少する反面、医科入院外(同2.1%増)と歯科(同3.6%増)は増加した。
2年度上期概算医療費の伸び率は、▽4月(前年同月比8.8%減)▽5月(同11.9%減)▽6月(同2.4%減)▽7月(同4.5%減)▽8月(同3.5%減)▽9月(同0.3%減)─で、いずれもマイナス。
この反動で、3年度上期概算医療費は、▽4月(同10.6%増)▽5月(同11.5%増)▽6月(同5.4%増)▽7月(同2.6%増)▽8月(同5.0%増)▽9月(同2.9%増)─となり、いずれもプラスの伸び率となった。
コロナ禍の2年度上期概算医療費と比較した場合、3年度上期概算医療費がプラスの伸び率となるのは当然の結果であり、コロナ禍前の元年度上期概算医療費と比較した伸び率の動向に注視する必要がある。
3年4~9月の3年度上期概算医療費をみると、被用者保険は本人が前年同期比10.7%増、家族が同14.4%増の全体で同12.3%上昇。国保は同5.9%増、後期高齢者は同3.5%増だった。未就学者は前年度(同26.6%減)の3割近い減少の反動で同34.7%増加した。
1人当たり医療費は同6.4%増で、被用者保険が同12.6%増、国保が同7.6%増、後期高齢者が同3.4%増となっている。
診療種類別概算医療費は、医科入院の同3.7%増に対し、医科入院外は同10.1%増と大きく上昇。歯科は同8.9%増、調剤は同3.1%増だった。
医科入院は1日当たり医療費が同4.7%増で受診延日数が同1.2%減、医科入院外は1日当たり医療費が同2.3%増で受診延日数が同7.6%増、歯科は1日当たり医療費が同2.0%増で受診延日数が同6.8%増、調剤は処方箋当たり医療費が同4.2%減で処方箋枚数が同7.6%増。医科入院の受診延日数と調剤の処方箋当たり医療費が減少した。
医療機関別概算医療費は、医科病院同5.2%増、医科診療所同10.0%増、歯科病院同13.2%増、歯科診療所同8.7%増、保険薬局同3.1%増、訪問看護ステーション同19.8%増で、いずれも上昇。
医科病院のうち、大学病院は同9.4%増、公的病院は同5.7%増、法人病院は同3.9%増、個人病院は同7.2%減だった。
医科診療所の概算医療費を診療科別にみると、▽小児科(同62.1%増)▽耳鼻咽喉科(同26.3%増)▽内科(同8.9%増)▽産婦人科(同8.5%増)▽眼科(同8.3%増)▽整形外科(同8.3%増)▽皮膚科(同2.9%増)▽外科(同1.7%減)─となり、外科のみ減少した。
3年9月の概算医療費
前年同月比2.9%増
令和3年9月の概算医療費は前年同月比で2.9%増加し、前月の同5.0%増に比べ増加幅は縮小した。休日数などの違いによる影響を補正しても、同様の伸び率だった。
制度別に3年9月の概算医療費をみると、被用者保険は本人同7.6%増、家族同5.3%増の全体で同7.0%増加した。国民健康保険は同3.3%増、75歳以上の後期高齢者は同1.2%増にそれぞれ上昇。未就学者は同14.6%増と大幅に増えた。
1人当たり医療費は同3.4%増で、被用者保険が同7.3%増、国保が同5.2%増、後期高齢者が同0.9%増となっている。
診療種類別概算医療費は、医科入院が同0.1%増、医科入院外が同6.0%増、歯科が同1.1%増、調剤が同3.8%増で、いずれもプラスの伸び率となった。
医科入院は1日当たり医療費が同3.9%増で受診延日数が同3.8%減、医科入院外は1日当たり医療費が同3.9%増で受診延日数が同2.0%増、歯科は1日当たり医療費が同1.4%増で受診延日数が同0.3%減、調剤は処方箋当たり医療費が同0.4%増で処方箋枚数が同3.4%増。医科入院と歯科の受診延日数のみ減少した。