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健保ニュース 2022年2月下旬号

令和4年度介護報酬臨時改定
介護人材の処遇改善案を了承
10月以降も同様のスキームに

社会保障審議会介護給付費分科会(座長・田中滋埼玉県立大学理事長)は7日、会合を開き、介護人材の処遇改善に関連した令和4年度介護報酬改定に関する審議報告案を了承した。

審議報告案では、改定の基本方針として、補正予算で実施している介護人材の処遇改善に関する措置と同じ政策目的であり事務負担軽減の観点から、介護報酬に組み入れられる10月以降も補正予算と同様のスキームを基本的に引き継ぐこととした。

今後、詳細については田中分科会長と厚生労働省に一任し、修正等を行ったうえで、諮問・答申する。

介護人材の処遇改善については、昨年11月の閣議決定で、介護・障害福祉職員を対象に、収入の3%程度(月額9000円)引き上げるための措置を4年2月から実施することとしていた。また、その後の令和4年度予算編成過程において、10月以降は、同様の措置を介護報酬の臨時改定で対応することを決定していた。

審議報告案では、補正予算による措置を引き継ぐことを前提に、①加算の対象②加算率の設定③事業所内における配分─の3点を示した。

①については、加算対象のサービス種類として、今までに取り組んできた介護職員の処遇改善を推進する観点から、これまでの介護職員処遇改善加算等と同様のサービス種類とすることとした。また、長く働き続けられる環境を目指す観点から、特定処遇改善加算と同様に現行の介護職員処遇改善加算(Ⅰ)~(Ⅲ)までを取得している事業所を対象とすることや、賃上げ効果の継続に資するように、加算額の3分の2以上はベースアップの引き上げに用いることを要件とした。

②は、事業所における事務負担が少ない形で給付額を算出するため、サービス種類ごとの加算率は、介護職員処遇改善加算と同様に、それぞれのサービス種類ごとの介護職員の数に応じて設定することとした。

③では、事業所の判断により、介護職員以外の職員に今回の処遇改善の収入を充てることができるよう柔軟な運用を認め、事業所内の配分方法に制限を設けないこととした。

介護職員の処遇改善を巡っては、本来、労使間において自立的に決定すべきものとされているが、賃金水準が低いことや業務上の負担が大きいことを要因とする慢性的な介護職員の人手不足に対応するため、介護報酬改定において処遇改善加算などを設けることで対策を講じてきた。これに関連して、出席した委員からは、この日示された審議報告案に真っ向から反対する意見は見られなかったものの、これ以上の加算の積み重ねによる処遇改善ではなく、制度全体の抜本的見直しを求める声や、これまでに設けられた処遇改善加算も含めた加算のあり方に対し、見直しや効果検証を求める意見が出された。

健保連の河本滋史常務理事は、介護人材の処遇改善の重要性について理解を示したうえで、審議報告案については、十分な議論が行われないまま審議報告されてしまったことに対し残念であるとし「介護保険の支え手である現役世代はコロナ禍による経済状況の悪化によって収入減に見舞われており、今回の臨時改定で負担増となるのは厳しい」と指摘した。

また、今回の臨時改定での処遇改善の実施に平行し、介護報酬の効率化・適正化に繋がる議論を行い、利用者負担や保険料負担の増加を抑える対応を、次回の6年度の定時改定を待つのではなく、少しでも前倒しで反映できるよう努力すべきとの意見を表明し、具体的な検討内容や検討スケジュールを示すよう厚労省に求めた。

このほか、同日の会合では「令和3年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査(令和4年度調査)の進め方について(案)」や「令和3年度介護報酬改定を踏まえた今後の課題及び次期改定に向けた検討について(案)」等が示され、令和3年度介護報酬改定の効果検証の具体的内容や調査票の調査項目、スケジュール、次期改定に向けた検討についての議論を行い、了承した。

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