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健保ニュース 2022年2月中旬号

協会けんぽ
4年度保険料率10%超は23支部
支部間格差は1.49ポイントに拡大

全国健康保険協会運営委員会(座長・田中滋埼玉県立大学理事長)は1月27日、令和4年度における協会けんぽの都道府県支部別の健康保険料率を了承した。47都道府県支部のうち、4年度から引き上げとなったのは29支部、引き下げは18支部で、保険料率が最高の支部と最低の支部の格差は1.49ポイントと、前年度(1.18ポイント)に比べ拡大した。全国平均の10%を超えた支部は23支部で、10%を下回ったのは24支部。また、4年度の介護保険料率は1.64%で3年度の1.80%から引き下げとなった。

都道府県支部ごとの保険料率の格差が年々拡大している要因については、料率を全国一律から都道府県単位へ移行する際に講じていた、激変緩和措置が令和元年度末で終了したことや、全支部から平等に集めた原資を医療費適正化の取り組み実績に応じて上位23支部に配分するインセンティブ制度などが影響している。

4年度の医療分の収支見込は収入が11兆2090億円で3年度から20億円減少した。内訳は保険料収入9兆9369億円、国庫補助等1兆2454億円、その他266億円。支出は10兆7505億円で3年度から838億円減少した。内訳は保険給付費6兆7304億円、前期高齢者納付金1兆5542億円、後期高齢者支援金2兆790億円、退職者給付拠出金1億円、その他3868億円となっている。経常収支は4585億円の黒字が見込まれ、単年度収支が均衡する保険料率は9.54%だが、高齢化による将来の支出増に備え、健康保険料率は10%を維持する。準備金残高は3年度から4586億円増加の4兆8456億円と予測している。

都道府県支部別の健康保険料率をみると、最も高いのは佐賀で11.0%。次いで鹿児島10.65%、大分10.52%、長崎10.47%と続く。最も低いのは新潟の9.51%で、次いで富山9.61%、福島9.65%、山梨9.66%となっている。

健康保険料率の引き上げ幅が最も大きかった支部は佐賀と島根で0.32ポイント、次いで宮崎0.31ポイント、鹿児島0.29ポイント、大分0.22ポイントと続く。一方で、最も引き下げ幅が大きかったのは、石川で▲0.22ポイント、次いで神奈川▲0.14ポイント、山梨▲0.13ポイント、京都と兵庫▲0.11ポイントとなっている。

都道府県支部別の健康保険料率の決定にあたっては、引き上げとなった支部から「やむを得ない」という声が多くあがる一方で、「事業主や被保険者が収めた保険料が準備金として積み上がっているのに、平均保険料率の引き下げに使われないのは、事業主や被保険者の理解が得られない」(佐賀)、「全国一律の保険料に変更し、制度変更に時間がかかるのであれば、料率に上限と下限を設け、保険料率が10%と言える範囲に収めるべき」(大分)などの引き上げに反対する声も一部からあがった。

また、積み上がった準備金については加入者や事業主への何らかの還元策の検討を求める声が多くあげられた。

このほか、同日の運営委員会では、4年度の船員保険の保険料率についても承認され、疾病保険料率は9.60%から9.70%へ引き上げ、介護保険料率は前年度比0.38ポイント減の1.54%となった。

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