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健保ニュース 2022年2月上旬号

中医協が個別改定項目の議論に着手
医療・看護必要度を公益裁定
急性期入院料 評価項目と患者割合見直し

中央社会保険医療協議会(小塩隆士会長)は1月26日、令和4年度の診療報酬改定に向けて、個別改定項目の議論に着手した。このなかで、「一般病棟用の重症度、医療・看護必要度にかかる評価項目および該当患者割合」、「オンライン診療にかかる算定要件、施設基準および点数水準」の2項目は、支払側と診療側の意見の隔たりが大きく、公益裁定で決着した。「重症度、医療・看護必要度」は、「心電図モニターの管理」の評価項目からの削除など厳格化する一方、「急性期一般入院料」における該当患者割合の基準値を200床以上の医療機関の「入院料1(必要度Ⅰ)」を除き緩和することとした。

令和4年度の次期診療報酬改定では、入院患者の状態に応じた適切な評価を行う観点から、「重症度、医療・看護必要度」の評価項目や該当患者割合の基準値について、急性期入院医療の必要性に応じた見直しを行うための議論が進められてきた。

1月12日の中医協総会では、厚生労働省が一般病棟用の「重症度、医療・看護必要度」にかかる該当患者割合について、4つの見直し案を提示した。

このうち、▽A項目の「心電図モニターの管理」の削除▽A項目の「輸血や血液製剤の管理」の点数を1点から2点に変更▽A項目の「点滴ライン同時3本以上の管理」を「注射薬剤3種類以上の管理」に変更▽B項目の「衣服の着脱」の削除▽C項目の「骨の手術」の日数を11日間から10日間に変更─する最も厳しい見直し案では、18.8%(必要度Ⅰ31.9%、必要度Ⅱ8.9%)の病院が旧7対1入院基本料に相当する「急性期一般入院料1」の基準を満たせなくなる試算が明らかになった。

これに対し、支払側は、医療機能の分化・強化と連携のさらなる推進に向けて、最も厳しい見直し案を軸に施設基準のあり方にかかる検討を進めていくべきと主張。

診療側は、新型コロナウイルス感染症禍に急性期入院医療の評価体系を厳格化することは到底承服できないと強調した。

この日の会合でも両側の意見の隔たりが大きく、議論を続けても合意に至らない事態を想定し、公益側が裁定案をまとめた。

公益裁定は、14.2%(同26.1%、同5.2%)の病院が「入院料1」の基準を満たせなくなる、▽A項目の「心電図モニターの管理」の削除▽A項目の「輸血や血液製剤の管理」の点数を1点から2点に変更▽A項目の「点滴ライン同時3本以上の管理」を「注射薬剤3種類以上の管理」に変更─する2番目に厳しい見直し案が妥当と指摘。

その際は、現行の「入院料5」と「入院料6」を一体とする評価体系に見直したうえで、「入院料1~6」の間に、適切な該当患者割合の間隔を設けながら基準値を設定していくことが適切との考えを示した。

また、新型コロナウイルス感染症や地域医療への影響も踏まえ、許可病床数200床未満の病院に対する一定の緩和措置のほか、「必要度Ⅱ」の活用を進め、医療従事者の負担軽減も図っていく視点も重要とした。

そのうえで、「必要度Ⅰ」の該当患者割合の基準値は、「入院料1」を「31%」に据え置いたうえで許可病床数200床未満の病院は「28%」へと3%引き下げる。

さらに、「必要度Ⅱ」の基準値は、「入院料1」を現行の「29%」から「28%」に緩和。200床未満の病院は「25%」とし、「必要度Ⅰ」との間にそれぞれ「3%」の差を設ける。

「入院料4」は「必要度Ⅰ20%、必要度Ⅱ17%」で、200床未満の病院は2%緩和し、「同18%、同15%」へと見直す。

オンライン初診の点数水準
対面と時限対応の中間程度

オンライン診療については、令和2年度診療報酬改定における見直しに加え、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う時限的・特例的な対応が2年4月から実施されたことに伴う影響、「オンライン診療の適切な実施に関する指針」の見直しが行われたこと等を踏まえ議論が行われてきた。

支払側は、普及促進の観点から「指針」にもとづく算定要件と施設基準の設定や、点数水準の見直しを要望。

一方、診療側は、オンライン診療が対面診療の補完であることも考慮し必要な設定を行うべきと訴え、この日の会合でも意見の一致は見出せなかった。

これに対し、公益裁定は、医療機関と患者との間の時間・距離要件や、オンライン診療の実施割合の上限は要件として設定しないことが適切と判断した。

また、オンライン初診の点数は、一定程度の差を設けることは妥当との考えを示す一方、オンライン診療のみで診療を終え得ること等を勘案すると、現行の対面診療(288点)と時限的・特例的な対応(214点)の初診料の中間程度の水準とすることが適当と結論づけた。

対面診療の87点~1681点に対し、一律100点(時限的・特例的な対応は一律147点)に設定されているオンライン診療にかかる医学管理料の点数水準についても、オンライン診療の初診料の対面診療に対する割合と整合的に設定することが適当とした。

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