健保ニュース
健保ニュース 2022年1月中旬号
令和4年度健保組合関係予算案
拠出金軽減助成は820億円を確保
適用拡大財政支援に5億円
政府は12月24日の閣議で令和4年度予算案を決定した。このうち、厚生労働省所管の健保組合関係助成費は、一般会計と復興特別会計を合わせて3年度当初予算に比べ5億円増の総額887億円を計上した。増加分は、今年10月から施行される短時間労働者への被用者保険適用拡大に伴う健保組合への財政支援が反映された。健保組合関係予算の主要を占める高齢者医療への過重な拠出金負担を軽減するための財政支援については、3年度当初予算と同額の820.4億円を確保した。また、新型コロナウイルス対策の一環で、予算編成過程の検討課題としていた事項要求扱いの保険者機能強化関係の助成は、昨年末(12月20日)に成立した3年度補正予算に前倒しして9.8億円が措置されたことを踏まえ、本予算への対応を見送った。
4年度予算における健保組合関係助成費は、高齢者医療運営円滑化等補助金などを含む一般会計分が884億4825万円、復興特別会計にもとづく補助金が2億5780万円で合計887億604万円を計上。
高齢者医療運営円滑化等補助金は730億2293万円(3年度当初予算比4億9607万円増)。このうち、高齢者医療支援金等負担金助成事業は725億4267万円で、その内訳は、▽前期高齢者納付金に着目して拠出金の負担増を抑制する高齢者医療支援金等の負担に対する助成事業に720億4486万円(指定組合への助成7.9億円含む)▽適用拡大に伴う負担増への財政支援に4億9781万円─となっている。
主に健保組合の拠出金負担を軽減する財政支援措置は、支援金等の負担に対する助成事業720.4億円と、拠出金が特に重い上位保険者の負担を軽減する高齢者医療特別負担調整交付金の100億円を合わせて全体で820.4億円を確保し、いずれの助成事業も3年度当初予算と同額を計上した。
高齢者医療支援金等負担金助成事業のうち、適用拡大財政支援は、健康保険・厚生年金の適用を受ける企業規模要件が今年10月から緩和され、現行の従業員数500人超の規模が100人超へと拡大されることに対応する。これにより、短時間労働者の加入が促進し、財政悪化の影響を受ける健保組合に助成する。
適用拡大に着目する予算措置は今回2度目で、半年分を計上した。初回の財政支援は、現行の従業員数500人超規模の要件が導入された平成28年10月(28年度予算)~30年度予算の3年間で適用拡大に伴う給付増への激変緩和措置を実施した。
10月からの100人超規模への適用拡大に伴う対応は、初回の助成措置の仕組みを踏襲し、法定給付費の増加に着目した財政支援を行う予定で、法定給付費にかかる所要保険料率(法定給付費/総報酬額)が1.5‰を超える部分に対し、1.5‰超~3‰、3‰超~4.5‰、4.5‰超と1.5‰刻みで段階的に一定割合を財政支援する方針。
このほか、4年度の事務費負担金は26億6023万円で、一般分、介護分ともに被保険者1人当たり単価を据え置いている。
特定健診・保健指導補助金は、3年度当初予算と同額の27億1744万円を確保し、特定健診・保健指導の実施に要する経費の3分の1相当を助成する。
保険者が実施する糖尿病性腎症重症化予防事業は、3年度当初予算比200万円増の4765万円を計上。同事業は、特定保健指導の対象となっていない糖尿病性腎症(人工透析導入前)の患者に対し医療機関と連携して保健指導する健保組合に助成するものだが、4年度事業では生活習慣病全体を視野に入れ、対象疾患を拡大する方向で検討する。
被用者保険運営円滑化推進事業の健保組合向け補助金「レセプト・健診情報等を活用したデータヘルスの推進事業」は、1億1770万円(3年度当初予算比1980万円減)を計上し、成果連動型民間委託方式(PFS)の保健事業や中小規模を含む複数健保組合の共同事業に助成する。
PFSが同事業の大半を占め、複数年度で事業の成果を出す観点から、今回の予算措置を含めて債務負担行為にもとづき6年度まで3年間、約1億円規模のPFS事業を継続する予定となっている。健保連向けデータヘルス推進事業は3520万円を計上した。
被用者保険運営円滑化推進事業の「特定保健指導等支援の共同事業」は、健保組合の保健師共同活用に要する経費への助成に3億2737万円を計上した。
復興特別会計は、東日本大震災による原発事故避難者の受診時一部負担減免に補助する災害臨時特例補助金や特定健診・保健指導補助金を盛り込んでいる。