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健保ニュース 2022年新年号

第514回理事会
宮永会長 「次なる改革」へ力を結集
健保組合・健保連の新提言を実現

健保連は12月17日、東京都中央区のベルサール八重洲で第514回理事会を開いた。宮永俊一会長は、理事会の冒頭あいさつで、先の通常国会での医療保険制度改革関連法の成立に伴い、一定所得以上の後期高齢者の窓口2割負担導入が決まったが、「現役世代の負担軽減にはまだまだ十分な内容とは言えない」と断じ、「増え続ける拠出金負担に加え、コロナ禍で苦境に陥っている会員組合のためにも、残された時間は短く、次なる改革に向けて歩みを止めるわけにはいかない」と強調した。健保組合・健保連の新たな提言「安全・安心な医療と国民皆保険制度の維持に向けて」を踏まえて、コロナ禍でも安心して医療を受けられる提供体制やかかりつけ医の推進、拠出金負担の軽減などの実現に会員組合と力を合わせて取り組んでいく考えを示した。さらに保険者機能を十分に発揮して加入者の健康寿命を延伸するなど、健保組合の価値、意義の理解促進にも取り組む必要性に言及した。(宮永会長の発言要旨は次のとおり。)




理事会の開会にあたり、一言あいさつ申し上げる。
 まず、コロナ禍の大変な状況のなかで、医療保険者として、その職責を果たされている会員組合の皆さんに敬意を表したい。

理事会については、これまで、皆さんの健康と感染拡大防止の観点から、やむを得ず書面審議とさせていただいた。私自身、昨年4月の健保連会長就任以来、理事各位に、直接あいさつを申し上げることがかなわず、大変心苦しい思いであった。

このような開催形式が続いたことを改めてお詫び申し上げるとともに、本日、初めての対面開催に多くの参加をいただいたことに重ねてお礼申し上げる。

振り返ると、一昨年に確認された新型コロナウイルス感染症は、瞬く間に全世界に拡大し、わが国をはじめ、人々の社会生活、経済活動に多大な影響を与えてきた。

健保連としても、国民の健康を守る公法人の一員として、政府の感染予防策に協力してきた。

また、会員組合においてもワクチンの職域接種をはじめ、様々な感染症予防の取り組みを進められ、国民全体の感染対策の徹底も奏功し、足元の感染状況はやや落ち着きを取り戻している。

しかし、オミクロン株など欧米諸国を中心に感染が再拡大しており、予断を許さない状況である。これまでの感染対策を継続して、気を引き締めつつ注視していかなければならない。

さて、今年10月31日に実施された衆議院議員総選挙では、自民党が絶対安定多数を獲得し、自公連立政権の枠組みが維持された。

第2次岸田内閣のもと、「成長と分配の好循環」をコンセプトとした、「新しい資本主義」の実現に向けた政策が動き出しつつある。

社会保障の分野においても、全世代型社会保障検討会議の後継組織となる「全世代型社会保障構築会議」が設置され、新たな検討の場が整った。

今年6月には、われわれが強く主張してきた後期高齢者の2割負担の一部導入を含む改革案が国会で成立し、一歩前進したところだが、現役世代の負担軽減にはまだまだ十分な内容とは言えない。

増え続ける拠出金負担に加え、コロナ禍で苦境に陥っている会員組合のためにも、残された時間は短く、次なる改革に向けて歩みを止めるわけにはいかない。

こうした状況のもと、常任理事会・要求実現対策本部において、「安全・安心な医療と国民皆保険制度の維持に向けて」とする新たな提言をまとめた。オンライン形式で配信した10月の全国大会の決議にも盛り込まれ、また、大会終了後に行った記者会見においても、広く世論に訴えたところである。

コロナ禍においても国民が安心して医療を受けることができる医療提供体制や、かかりつけ医の推進を求めるとともに、健保組合を守るため、拠出金負担の軽減や、不合理な仕組みの改善を訴える内容であり、これらの実現に向けて、皆様と力を合わせて取り組んでいく。

さて、臨時国会は来週21日に終わり、政府の来年度予算編成が大詰めを迎える。
 今月9日には、自民党の「国民皆保険制度を守る国会議員連盟」が健保組合の拠出金負担に対する財政支援措置などを柱とする要望書をまとめ、松野内閣官房長官、鈴木財務大臣に提出した。

政治の世界にも、われわれの応援団が確実に広がってきていると強く感じており、過重な負担に苦しむ健保組合への必要な補助を獲得できるよう、こうしたロビー活動を含めたアピールを今後も積極的に展開していかなければならない。

また、今は、来年4月の診療報酬改定について、支払側と診療側との激しい攻防が行われている。

国民皆保険制度の持続可能性や、医療提供体制の再構築の必要性、医療費の自然増を考えれば、国民の負担軽減が不可欠であり、関係団体と連携して対応して取り組んでいく。

一方で、われわれ自身の健保組合の価値、意義の理解促進にも取り組み続ける必要がある。

保健事業による加入者の健康づくりなど、健保組合に優位性がある保険者機能をそれぞれの組合で十分に発揮いただくとともに、加入者の新しいニーズをくみ取り、形にしていくことが求められている。その結果として、加入者の健康寿命の延伸が図られ、健保組合の価値向上にもつながると考える。

来年に向けても、われわれの要求を実現するための各種活動を継続して展開していきたい。本日は、来年度の事業計画、予算の基本方針などについて、お諮りすることとなる。理事各位の忌憚のないご意見をお願いして、開会のあいさつとする。

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