健保ニュース
健保ニュース 2021年12月中旬号
官房長官、財務相へ理解要請
自民・皆保険議連が「要望」提出
2割負担の早期施行、組合支援など
自民党の衆参両院所属の有志議員で構成する「国民皆保険を守る国会議員連盟」は来年度政府予算編成にかかる要望書をまとめ、同議連の丸川珠代幹事長、村井英樹事務局長らが9日午前に松野博一内閣官房長官、同日午後に鈴木俊一財務相を訪ね、提出した。
要望は、①後期高齢者医療における窓口2割負担の早期施行②高齢者医療のための拠出金負担に対する財政支援措置の確実な確保③短時間労働者の適用拡大に対する財政支援の実施─が柱。
要望事項①は、先の通常国会で成立した改正健康保険法等にもとづき、現行1割負担の後期高齢者のうち単身は課税所得28万円以上・年収200万円以上(複数世帯は後期高齢者の年収合計320万円以上)について、2割負担に引き上げることが決まったが、施行は令和4年10月1日から5年3月1日までの間の政令で定める日とされ、具体的な実施時期は決まっていない。
2割負担の導入は、後期高齢者医療費にかかる現役世代の負担軽減を狙いに自民、公明両与党が合意した措置だが、実施時期が後半になるほど軽減効果は薄れることになる。
このため、議連の要望は、改正措置の目的に則し早期に施行することが必要だとし、来年度予算への反映を求めた。
②高齢者医療のための拠出金負担に対する財政支援措置の確実な確保は、健保組合を対象とする現行の拠出金負担軽減のための合計約820億円(高齢者医療運営円滑化等補助金=720.4億円、特別負担調整交付金=100億円)の財政支援措置について、4年度も同規模の予算額を確保するよう要望。
さらに、4年度以降の拠出金の負担増を見通し、「さらなる拡充を検討すること」とした。
また、③短時間労働者の適用拡大に対する財政支援の実施は、4年10月から施行される短時間労働者への被用者保険適用拡大について、加入者の増加に伴う給付費等の増加を見通し、財政影響を受ける健保組合への支援を提起した。
「国民皆保険を守る国会議員連盟」要望
令和3年12月9日
国民皆保険を守る国会議員連盟
健康保険組合は新型コロナウイルスの感染拡大が続く中でも、事業主と連携して新型コロナワクチンの職域接種に積極的に取り組むなど、加入者の健康を守るという保険者としての重要な使命を果たしてきた。
また、人生100年時代の安心の基盤は「健康」であり、国民の健康寿命の延伸に向けて先駆的に取り組んでいる健康保険組合の役割は今まで以上に大きいものとなっている。
こうした状況を踏まえると、健康保険組合とそこに所属する現役世代をしっかりと支援していくことが重要であり、本議員連盟として、政府に対し特に以下の3点を要望する。
1.後期高齢者医療における窓口2割負担の早期施行
昨年11月に本議員連盟としても提言し、先の通常国会で関連法案が成立した、後期高齢者のうち一定所得以上の者にかかる窓口2割負担については、法律上、令和4年10月1日から令和5年3月1日までの間において政令で定める日から施行することとされているが、現役世代の負担軽減のため、早期に施行すること。
2.高齢者医療のための拠出金負担に対する財政支援措置の確実な確保
高齢者医療のための拠出金が健康保険組合の財政を大きく圧迫していることから、高齢者医療運営円滑化等補助金および特別負担調整など拠出金負担の重い保険者への財政支援について、令和4年度も本年度と同様の予算額を確実に確保するとともに、今後の更なる拡充を検討すること。
3.短時間労働者の適用拡大に対する財政支援の実施
令和2年の法改正に基づき、令和4年10月から短時間労働者の適用拡大が施行されるが、加入者増に伴う法定給付等の増加により、財政がひっ迫する健康保険組合に対して、令和4年度から必要な財政支援を行うこと。