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健保ニュース 2021年12月上旬号

3年度補正予算案
コロナで収支悪化 健保組合に財政支援
保険者機能強化に着目

政府は11月26日の臨時閣議で、経済対策の裏づけとなる令和3年度補正予算案を決定した。一般会計歳出の規模は合計で35兆9895億円に上る。政府は12月上旬に召集予定の臨時国会に補正予算案を提出し、年内の成立をめざす。

厚労省所管分は8兆9733億円が計上され、このうち、新型コロナウイルス感染症の影響で財政運営が極めて困難となった健保組合への財政支援が盛り込まれた。

これは、元年度から3か年計画でスタートした保険者機能強化支援事業のスキームを視野に入れたもので、助成額は9.8億円を予定する。

保険者機能強化に関する助成措置は、今夏の4年度予算概算要求段階(健保組合関係助成費)では金額を明示しない事項要求として年末に取り扱いを調整することとなっているが、今回、本予算から前倒しする形で補正予算案に計上した。

前回の2年度3次補正予算ではコロナ対策としての保険者機能強化支援の拡充(50.6億円)が手当されたが、引き続きコロナの影響を考慮し、今回の補正予算案にも同様の趣旨の助成事業を位置づけた。

対象となる組合は、保険料率95‰以上、財源率90‰超、保有資産200%未満、単年度経常赤字に加えて、2年度に比べ3年度の経常収支悪化も要件とする方向となっている。

これらの要件に該当する健保組合に対し前年度並みの事業規模の水準が維持されるよう、2年度の保健事業費と同額を上限とし、この範囲の費用に一定率を乗じた国費を交付する。

補助割合は、被保険者1人当たり保健事業費が全組合の4分の1未満の組合に2分の1、全組合平均の4分の1以上3分の2未満の組合に4分の1とする考えで、これまでの保険者機能強化支援事業に比べてより厳しい健保組合に重点的に助成する方針だ。

補正予算案の柱は、①新型コロナ感染症の拡大防止②社会経済活動の再開と次なる危機への備え③「新しい資本主義」の起動④国土強靭化の推進など安全・安心の確保─。

厚労省所管分の予算では、①コロナ対策に全体の約9割を占める8兆1832億円を計上している。健保組合への助成措置も、厳しい状況下の事業や生活・暮らしの支援策として①に含まれる。

また、①は医療提供体制の確保も主要施策で、感染症緊急包括支援交付金を活用したコロナ患者の受け入れ病床の確保などに2兆1033億円、ワクチン接種体制の確保に1兆3879億円などとなっている。

政権の看板政策である③の公的部門における分配戦略の強化では、保育士や介護職などの収入を来年2月から3%程度(月9000円)引き上げる。看護職の収入は段階的に3%程度引き上げることとし、来年2月からは1%程度(月4000円)引き上げる。いずれも来年9月までの措置で全体で1655億円を投入する。10月以降の対応については、4年度予算編成過程で検討する。来年2月から対象となる看護職は、「まずは、地域でコロナ医療など一定の役割を担う医療機関」に勤務する者で、具体的には救急医療管理加算を算定する救急搬送件数が年200台以上の医療機関、また3次救急を担う医療機関とする。

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