健保ニュース
健保ニュース 2021年12月上旬号
厚労省が次期薬価改定の論点整理案
製造原価開示向上へ 加算係数を厳格化
新創加算の区分Ⅲは対象拡大
厚生労働省は令和4年度の次期薬価改定に向けた論点を整理し、1日に開催した中医協の薬価専門部会に提案した。
加算係数が最も低い新薬創出等加算の企業区分Ⅲの対象を拡大して区分間のバランスを適正化するほか、原価計算方式における製造原価の開示を推進する観点から開示度50%未満の加算係数を厳格化する方針を示した。
厚労省は次期薬価改定に向けたこれまでの議論を踏まえ、①新薬創出等加算の企業区分②長期収載品の薬価の適正化③原価計算方式における製造原価の開示度向上④調整幅のあり方⑤高額医薬品に対する対応─などへの方針を提案した。
このうち、①は、新薬創出等加算の企業区分間のバランスを適正化する観点から、最も低い加算係数を設定している「企業区分Ⅲ」の範囲を現行の「0ポイント」から「2ポイント以下」に引き上げ、対象拡大を図る方針を示した。
③は、合理的な理由がある場合を除き、他国への移転価格について、最低価格を上限とする運用を明確化するとともに、開示度50%未満の場合の加算係数を現行の「0.2」から「0」に厳格化する対応を提案。
⑤は、アルツハイマー病への新薬として承認申請されている「アデュカヌマブ」を想定し、今後、年間1500億円の市場規模を超える品目が承認された場合、通常の薬価算定の手続きに先立って中医協に報告し、承認内容や試験成績などに留意しつつ、薬価算定方法の議論を行う方針とした。
論点①については、健保連の松本真人理事が、「区分Ⅲの対象を2ポイント以下に見直すことより、企業側も予見性を高めながら全体としてメリハリがつくことになる」と述べ、厚労省の提案に理解を示した。
また、松本理事は論点②について、段階的引き下げルール(G1/G2)の前倒し適用や、一定期間を経ても後発医薬品への置き換えが進まない「Z2」における置換率の基準引き上げを継続するよう求めた。
論点④については、支払側の安藤伸樹委員(全国健康保険協会理事長)が、「調整幅は医薬品の安定供給から必要」との認識を示したうえで、「現在の状況を考えると、2%で足りるのか懸念している」と問題提起し、水準を柔軟に調整できるようなルールを検討するよう要請した。