HOME > けんぽれんの刊行物 > 健保ニュース > 健保ニュース 2021年9月上旬号

健保ニュース

健保ニュース 2021年9月上旬号

在宅医療の議論を開始
推進へ24時間体制など論点

中医協総会は8月25日、令和4年度の次期診療報酬改定に向けて、「在宅医療」の議論を開始した。

厚生労働省は、▽在宅医療▽訪問看護▽在宅歯科医療▽在宅患者訪問薬剤管理指導─についての課題と論点を示した。

「在宅医療」にかかる診療報酬上の評価については、平成18年度改定で、高齢者が住み慣れた家庭や地域で療養しながら生活を送り、身近な人に囲まれて在宅での最期を迎えることも選択できるよう、「在宅療養支援診療所」を新設した。

「在宅療養支援診療所」の届出医療機関数は近年、概ねヨコバイで、届出を行わない理由として、「24時間の往診担当医の確保が困難であるため」が最も多くなっている。

前回の平成30年度改定では、在宅療養支援診療所以外の診療所が、かかりつけ患者に対し、他の医療機関との連携により24時間の往診・連携体制を構築した場合の評価として、「継続診療加算」を新設。算定回数は増加しているが、算定していない理由として、「24時間の連絡・往診体制構築に向けた協力医療機関が確保できない」が最も多かった。

厚労省は、今後、在宅医療の需要が大幅に増加することが見込まれるなか、在宅医療を担う医療機関と市町村・医師会との連携、医療・介護の切れ目のない提供体制の構築を推進し、質の高い十分な量の在宅医療を提供するための診療報酬のあり方を論点として提起した。

診療側の城守国斗委員は、在宅医療の推進に向けて、「かかりつけ医が外来の延長として在宅に尽力している医療機関と、在宅専門の医療機関とでは効率性が全く異なる」と指摘し、評価のあり方についてこれまで以上の工夫が必要と問題提起。

在宅医療の質と量のベストバランスを考えながら、着実にボトムアップを図るような改定をめざして検討を進めていくべきとの考えを示し、推進の足かせとなっている24時間の往診対応を義務とするのではなく、在宅を担う医療機関の連携により地域でチーム医療を行えるような評価が必要とした。

健保連の幸野庄司理事は、在宅医療の質と量の確保が最も重要との観点から、安易な要件緩和や診療報酬点数の新設・引き上げを検討するのではなく、かかりつけ医を中心に地域のなかで在宅の取り組みを進めていくべきとの考えを示した。

患者への適切な提供へ
訪問看護指示書に職種・頻度の指定を
幸野理事

「訪問看護」については、訪問看護ステーションの利用にかかる費用が医療費・介護給付費とも増加し、医療費の伸び率は大きい状況となっている。

令和2年度の診療報酬改定では、機能強化型訪問看護ステーションの人員配置要件の見直しや小児への訪問看護にかかる関係機関の連携強化、専門性の高い看護師による同行訪問の充実評価を行った。

厚生労働省は、2年度改定における見直し・評価の考え方を踏まえ、質の高い訪問看護の適切な評価を推進しつつ、地域包括ケアを推進する役割を果たしていくための診療報酬上の評価を論点として提起した。

健保連の幸野庄司理事は、「訪問看護は今後も高齢化に伴って増加することが想定され、医療費に影響を及ぼすことは間違いない」と指摘したうえで、「患者の状態に応じた適切な訪問看護が行われているのか懸念している」と問題提起。

医師の「訪問看護指示書」の様式に、看護師や理学療法士等の訪問職種や、訪問頻度を指定するような仕組みを取り入れる必要があるとした。

このほか、厚労省は、「在宅歯科医療」は、▽患者のニーズにあわせた歯科訪問診療を推進するための診療報酬改定の対応─、「在宅患者訪問薬剤管理指導」は、▽在宅患者が有効で安全な薬物療法を切れ目なく継続的に受けられるようにするための診療報酬のあり方─を論点として示した。

健保連の幸野理事は、在宅歯科医療の体制はあまり確立していない印象があるとの認識を示し、在宅療養歯科診療所1.2や、かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所の歯科訪問診療の回数にかかる施設基準を厳格化するよう要望。

在宅患者訪問薬剤管理指導は、地域支援体制加算を届け出ている薬局や地域連携薬局に認定されている薬局が推進する役割を果たすべきとした。

けんぽれんの刊行物
KENPOREN Publication

2024年
2023年
2022年
2021年
2020年
2019年
2018年
2017年
2016年
2015年
2014年
2013年
2012年
2011年
2010年