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健保ニュース 2021年8月下旬号

消費税分科会が今後の進め方を了承
令和2年度補てん状況 11月に中医協総会へ報告
コロナ影響の取扱いが課題

中医協の診療報酬調査専門組織・医療機関等における消費税負担に関する分科会(飯塚敏晃分科会長)は4日、令和元年10月の消費税率10%への引き上げに伴う診療報酬による補てん状況の把握に向けた今後の進め方を了承した。

現在実施中の第23回医療経済実態調査(実調)の対象医療機関について、2年度における消費増税の補てん状況を把握し、3年11月を目途に総会に報告することとした。

社会保険診療における消費税は非課税であるため、医療機関等が仕入れで負担する消費税(控除対象外消費税)は、導入(平成元年)時、引き上げ(9年、26年、令和元年)時に診療報酬に上乗せすることで補てんを行ってきた。

元年10月の消費税率10%引き上げ時には、消費税率5%から10%部分について、補てん状況が是正される配点を実施。医科、歯科、調剤とも、基本診療料に点数を上乗せすることを中心に対応した。

その際に、消費税率10%への引き上げ後の補てん状況については、「必要なデータが揃い次第、速やかにかつ継続的に検証する」こととされた。

この日の会合では、厚生労働省が消費税率10%への引き上げに伴う診療報酬による2年度の補てん(5%~10%部分)状況の把握に向けた今後の進め方を提案した。

現在実施中の実調の対象医療機関等について、収入のうち診療報酬本体に上乗せされている消費税分と、支出のうち課税経費の消費税相当額とを把握。消費税分はレセプト情報・特定健診等情報データベースから抽出した算定回数等の2年度分のデータ、消費税相当額は実調のデータを使用することとした。

消費税分は、10%引き上げに伴い上乗せした初診料や再診料、入院料等の各診療報酬項目の点数に、データベースから抽出した算定回数を乗じて積算。消費税相当額は、実調データから個々の医療機関等の課税経費額を推計し、「その他の課税の経費」の消費税5%分を積算する。

このため、厚労省は、今回の対象期間である2年度のデータについては、新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けていることを踏まえ、補てん状況の把握方法や結果の分析・解釈に関する考え方を論点として提起した。

診療側の森昌平委員(日本薬剤師会副会長)は、「新型コロナの発生以降、医療現場では患者数の落ち込みや受診動向の影響を強く受け、消費税率10%引き上げ時の対応の根拠となった消費税負担率と対象項目の算定率は当然異なる状況にある」と指摘。今回はあくまでコロナという特殊環境下での結果であるため、「分析、取扱いは慎重に行うべき」との考えを示した。

健保連の幸野庄司理事は、「2年度はコロナ禍で患者の受療行動が大きく変わり、医療機関の収入構造が大きく変化したほか、感染症対策や病院の構造見直しなどで一時的な出費の増減もあった」との認識を示したうえで、「補てん状況の調査は参考値とし、結論を出すまでには至らない方が良い」と主張した。

これに対し、診療側の今村聡委員(日本医師会副会長)は、「データを分析し、最終的にこの考え方で結論を出すのは難しいということはあっても良いと思うが、現時点で結論を出すべきではないというのは拙速な印象を持っている」と反論した。

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