健保ニュース
健保ニュース 2021年7月中旬号
4年度予算概算要求基準を閣議了解
社会保障費 自然増は6600億円
団塊世代の後期入りで大幅増
政府は7日の臨時閣議で、令和4年度予算の概算要求に当たっての基本的な方針を了解した。「骨太方針2021」と「新経済・財政再生計画」の枠組みのもと、手を緩めることなく本格的な歳出改革に取り組むための基準を示した。
医療や年金などの社会保障に関する国庫負担は、自然増として前年度当初予算から6600億円の上積みを認めたうえで、合理化・効率化に最大限取り組み、高齢化による増加分に相当する伸びにおさめた結果を4年度予算に反映する。
3年度予算は、高齢化に伴う自然増を4800億円程度と見込んだうえで、毎年薬価改定等の改革努力により▲1300億円程度を合理化・効率化し、社会保障関係費の実質的な伸びを3500億円に抑制した。
一方、4年度予算概算要求基準では、団塊世代の後期高齢者入りを踏まえ、高齢化に伴う自然増を6600億円と見込んだ。
「義務的経費」は、前年度当初予算額の範囲内で要求。義務的経費を削減した場合には、同額を「裁量的経費」で要求可能とする。「裁量的経費」は、前年度当初予算額を1割削減する「要望基礎額」の範囲内で要求することとした。
さらに、「骨太方針2021」、「成長戦略実行計画・成長戦略フォローアップ」を踏まえ、▽グリーン▽デジタル▽地方活性化▽子供・子育て─への予算を重点化するための「新たな成長推進枠」を新設。
各省大臣は、前年度当初予算における「裁量的経費」に相当する額と「要望基礎額」の差額を3倍した額および「義務的経費」が前年度当初予算を下回る場合の差額を3倍した額の範囲内で要望する。
要求・要望は、これまでの歳出改革の取り組みを基調とした効率化を行ったうえで、「新たな成長推進枠」で要望された経費は「新経済・財政再生計画」における歳出改革努力を継続するとの方針を踏まえ措置することとした。
消費税率引き上げに伴う社会保障の充実、教育負担の軽減・子育て層支援・介護人材の確保については、前年度当初予算の例にもとづき所要額を要求するものとし、その対前年度からの増加の取扱いは予算編成過程で検討。
また、子供・子育てについては、「子供に関する様々な課題に総合的に対応等の機能を有する行政組織を創設するため、早急に検討に着手する」、「十分に安定的な財源を確保しつつ、速やかに必要な支援策を講じていく」と明記した「骨太方針2021」を踏まえ、予算編成過程で検討するとした。
3年度予算では、新型コロナウイルス感染症の影響に伴い、概算要求基準を閣議で了解する例年の手順を踏まず、概算要求の期限を9月30日へと1か月後ろ倒しするとともに、仕組みや手続きもできる限り簡素化した。
これに対し、4年度予算は、本格的な歳出改革に取り組むため、概算要求基準を閣議了解し、期限を8月末日とする例年の手順へと戻した。
菅義偉首相は、臨時閣議に先立つ政府与党政策懇談会で、「今回の概算要求基準では、前年度予算を見直すとともに、重点課題に柔軟に要望できる仕組みを設けた」と言及。合わせて、「これまでの歳出改革努力を継続し、経済再生と財政健全化をしっかりと進めていく」との意欲を示した。