健保ニュース 2021年6月下旬号

厚労省メディアス・２年度１月
概算医療費　前年比４.７％減少
４～１月では４.０％減に

厚生労働省の「最近の医療費の動向（メディアス）」令和２年度１月号によると、３年１月の概算医療費は前年同月比で４.７％減少し、前月の１.９％減に比べ減少幅は大きく拡大した。休日数などの違いによる影響を補正した数値も同様の伸び率となることが明らかになった。

また、２年４月から３年１月までの10か月分の概算医療費は前年同期比４.０％減少。補正後では同４.６％減少しており、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う患者の受診控えの影響が如実に現れた結果となった。

２年の概算医療費をみると、１月（前年同月比１.２％増）、２月（同２.７％増）はプラスの伸び率となったが、新型コロナウイルス感染症の感染者数が拡大してきた３月に同１.２％減へと５か月振りにマイナスの伸び率に反転した。オンライン診療の恒久化に向けた骨格は、政府が近く閣議決定する「規制改革実施計画」に盛り込み、3年度から検討を開始、4年度から順次実施する意向を示した。

緊急事態宣言が発令された４月は同８.８％減、５月は同11.９％減へと減少幅が拡大。感染者数が一定程度、落ち着いた６月（同２.４％減）以降、減少幅は縮小傾向にあり、10月に８か月振りにプラスの伸び率となったが、11月は同３.８％減に反転し、12月もマイナスの伸び率が続いた。

３年１月の制度別概算医療費をみると、被用者保険は本人同２.２％減、家族同11.３％減と家族の減少幅が大きく、全体で同５.３％減少した。国民健康保険は同４.８％、75歳以上の後期高齢者は同３.５％それぞれ減少。一方、未就学者は同18.８％と大幅に減少した。

１人当たり医療費は同４.４％減で、被用者保険が同５.３％減、国保が同３.４％減、後期高齢者が同３.９％減となっている。

診療種類別概算医療費は、医科入院が同４.２％減、医科入院外が同６.６％減、歯科が同１.９％減、調剤が同４.３％減で、いずれもマイナスの伸び率となった。

医科入院は１日当たり医療費が同１.９％増で受診延日数が同６.１％減、医科入院外は１日当たり医療費が同８.１％増で受診延日数が同13.６％減、歯科は１日当たり医療費が同５.９％増で受診延日数が同７.４％減、調剤は処方箋当たり医療費が同10.１％増で処方箋枚数が同13.１％減。

一方、２年４月～３年１月の10か月分の制度別概算医療費をみると、被用者保険は本人が前年同期比１.６％減、家族が同10.８％減となり、全体で同４.８％減少した。国保は同４.７％減、後期高齢者は同３.０％減。未就学者は同21.８％減と２割超減少した。

１人当たり医療費は同３.７％減で、被用者保険が同５.０％減、国保が同２.５％減、後期高齢者が同４.０％減となっている。

診療種類別概算医療費は、医科入院の同３.５％減に対し、医科入院外は同５.８％減と大きく減少。歯科は同１.９％減、調剤は同３.２％減だった。

医科入院は１日当たり医療費が同２.３％増で受診延日数が同５.７％減、医科入院外は１日当たり医療費が同６.５％増で受診延日数が同11.６％減、歯科は１日当たり医療費が同６.７％増で受診延日数が同８.１％減、調剤は処方箋当たり医療費が同８.１％増で処方箋枚数が同10.５％減。

受診延日数は、医科入院外と調剤で前年同期と比較し10％超の減少幅となっている。
　医療機関種類別概算医療費は、医科病院同３.８％減、医科診療所同６.８％減、歯科病院同７.９％減、歯科診療所同１.５％減、保険薬局同３.２％減、訪問看護同18.９％増で、訪問看護以外は減少した。

主たる診療科別医科診療所の医療費をみると、小児科（同26.６％減）、耳鼻咽喉科（同24.１％減）、外科（同12.２％減）で二桁を超えるマイナスの伸び率となった。