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健保ニュース 2021年6月上旬号

受診歴ない患者へのオンライン初診
健診結果等 厚労省が必要情報を例示
恒久化の取りまとめに反映

厚生労働省は、初診からオンライン診療を行う場合の検討事項と対応を整理し、5月31日に開催された「オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」(山本隆一座長)に提案した。

オンライン診療の恒久化に向けた取りまとめを見据えた内容で、過去に受診歴がない患者に対し、オンライン初診を行う場合に必要な医学的情報として、過去の診療録や健康診断結果などを例示した。

議論では、オンライン診療の間口を広げる観点から、医学的情報に対する医師や患者の裁量権を認めるべきとの意見が多勢を占めたほか、医学的情報にお薬手帳やPHR(パーソナル・ヘルス・レコード)を追加するよう求める意見があった。

今回の議論も踏まえ、厚労省は、次回会合で、オンライン診療の恒久化に向けた骨格を提案する意向を示した。

同検討会は、昨年12月21日の会合で、今年の6月を目途にオンライン診療の恒久化に向けた取りまとめを行い、秋口に「オンライン診療の適切な実施に関する指針」を改定する方向性を決めた。

この日の会合では、厚労省が、過去に受診歴のない患者にオンライン初診を認める場合に必要な医学的情報の活用を論点として提案。患者の医学的情報として活用可能なものについて、▽過去の診療録▽診療情報提供書▽健康診断結果▽地域医療情報ネットワーク─を考えられる情報として例示した。

大石佳能子構成員(メディヴァ代表取締役社長)は、患者の医学的情報の活用について、「厳しく規定するよりも、医師や患者のリテラシーを信頼し、双方に自由裁量を認めるべき」と言及。オンライン診療の間口を広げることにより、「かかりつけ医」と患者の接点も増えることになると主張した。

今村聡構成員(日本医師会副会長)も患者情報の活用について、「医師の裁量権を認めることは重要」と述べたほか、若い人達がオンライン診療を契機に「かかりつけ医」を持つことも重要との認識を示した。

この日の会合を所用で欠席した健保連の佐野雅宏副会長の意見は、山本座長が代弁した。佐野副会長は、患者が自ら管理している過去の検査値や服薬歴等の情報もオンライン診療に活用できる場合があると指摘し、幅広い範囲の患者情報が想定されるとした。

このほか、厚労省は、今後のオンライン診療の検討におけるその他の論点として、オンライン診療全体の推進にかかる課題や活用に向けた取り組みを例示した。

オンライン診療の推進に向けては、▽オンライン診療を医療全体の中にどのように位置づけ活用するか▽国民がいわゆる「かかりつけ医」をしっかりと持つこと、また、それらの医療機関でどのようにオンライン診療を拡充するか─を課題に位置づけた。

また、活用に向けては、▽再診も含め継続的な診療の中でのオンライン診療の活用▽在宅医療やへき地・離島における医療での活用の推進─を取り組みとして掲げた。

佐野副会長は、「オンライン診療が有効な場面を患者目線で考えていくことが重要」と指摘したうえで、国民がメリットを享受できるよう、オンライン診療を「かかりつけ医」機能の1つに位置づけるべきとの考えを示した。

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