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健保ニュース 2021年5月下旬号

令和3年度の後期支援金等決定状況
健保組合は2.9%増の4.7兆円
前期納付金が6.5%の大幅増

社会保険診療報酬支払基金はこのほど、医療保険者に対する令和3年度の①後期高齢者支援金②前期高齢者納付金③退職者医療療養給付費等拠出金④介護給付費・地域支援事業支援納付金─の徴収額等決定状況を公表した。それぞれ3年度概算額に元年度精算額等が反映されて各保険者に賦課される。

健保組合が3年度に納付する後期支援金等決定額は合計4兆6492億円で、前年度に比べ2.9%増加した。なかでも前期高齢者納付金は、同6.5%増と大きな伸びを示した。概算額が団塊の世代の後期高齢者への移行を前に増加し、精算額等の加算が重なった。

①後期高齢者支援金の決定額は合計6兆5650億円(概算額6兆8252億円、精算額等2602億円)で、前年度に比べ0.8%増加した。

後期支援金の賦課方式は、後期高齢者の医療給付費の見込額から後期高齢者の保険料、公費を除いた支援金総額の費用を国保と被用者保険の加入者数に応じてそれぞれの持ち分を算出したうえで、被用者保険はその全額を総報酬割で按分する。

保険者別の後期支援金決定額は、▽健保組合2兆92億円(概算額2兆298億円、精算額等207億円)、前年度比0.4%増▽協会けんぽ2兆1592億円(概算額2兆2276億円、精算額等684億円)、同1.3%増▽船員保険71億円(概算額73億円、精算額等2億円)、同1.0%減▽共済組合6635億円(概算額6788億円、精算額等153億円)、同3.2%増▽都道府県国保1兆5531億円(概算額1兆7043億円、精算額等1512億円)、同0.4%減▽国保組合1729億円(概算額1774億円、精算額等45億円)、同1.5%増─で船員保険、都道府県国保を除き増加した。

②前期高齢者納付金の決定額は合計3兆7860億円(概算額3兆6873億円、精算額等▲987億円)で、前年度と比べ4.6%増加した。

前期納付金・交付金の仕組みは、保険者間の65~74歳の前期高齢者加入率の差に着目して財政調整するもので、実態として前期高齢者を多く抱える国保を被用者保険が財政支援する構造となっている。

3年度の前期高齢者の加入者数は1686万1193人(前年度比5万5795人増)、全国平均加入率は15.7%(同0.2ポイント増)と見込んだ。健保組合は、前期高齢者数98万7173人、総加入者数2853万9351人、前期高齢者加入率3.5%で、全国平均との差相当分を納付金として負担する。

都道府県国保は、前期高齢者数1194万6912人、総加入者数2680万4580人、前期高齢者加入率44.6%で、全国平均との差相当分を交付金として受け入れる。3年度における都道府県国保への前期交付金決定額は、3兆7918億円(同4.6%増)となった。

保険者別の前期納付金決定額は、▽健保組合1兆6352億円(概算額1兆5816億円、精算額等▲537億円)、前年度比6.5%増▽協会けんぽ1兆5537億円(概算額1兆4993億円、精算額等▲544億円)、同1.5%増▽船員保険29億円(概算額32億円、精算額等3億円)、同3.6%増▽共済組合5301億円(概算額5368億円、精算額等67億円)、同8.4%増▽都道府県国保29億円(概算額55億円、精算額等26億円)、同6.8%増▽国保組合611億円(概算額610億円、精算額等▲1億円)、3.6%増─となった。

③退職者医療療養給付費等拠出金の決定額は合計▲95億円(概算額▲0億円、精算額等95億円)で、前年度比▲47.0%となった。

退職者医療制度の対象者は前期高齢者への移行が進むとともに、新規適用がないことから、3年度は129人(前年度比▲351人)と見込まれ、非常に縮小している。3年度の決定額は、前々年度の精算の影響が大きく、ほぼすべての保険者がマイナスで返還対象となったが、対象者が加入する一部の特定健保組合は拠出対象となり、その拠出金額は0.4億円だった。

④介護給付費・地域支援事業支援納付金の決定額は合計3兆589億円(概算額3兆3315億円、精算額等2726億円)で、前年度比1.7%増加した。

健保組合の介護納付金は1兆87億円(概算額1兆667億円、精算額等581億円)と1兆円を突破し、前年度比2.1%増となった。



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