健保ニュース 2021年3月上旬号

平成30年度・業態別調査
被保険者の健康状態を考察
肥満やメタボ　該当割合に2倍程度の差

健保連はこのほど、健保組合の特定健診データやレセプトデータから分析した「平成30年度業態別にみた被保険者の健康状態に関する調査」を公表した。

肥満やメタボリックシンドロームなどの該当者割合をみると、業態別で2倍程度の差が生じていることが明らかになった。

調査は、504組合の特定健診データ（349万6396人）と1280組合のレセプトデータ（1532万6859人）をもとに、業態別に被保険者の健康状態や服薬状況、メンタル系疾患の有病者割合などを考察した。

被保険者の健康状態をみると、肥満該当者の割合は42.1％で、建設業（50.7％）、木製品・家具等製造業（49.0％）、金属工業（47.3％）で高い一方、医療・福祉（29.9％）、繊維製品製造業（30.4％）、飲食料品小売業（36.9％）で低く、最高と最低の差は1.7倍だった。

健診検査値（血圧、脂質、血糖、肝機能）が基準範囲内の該当者割合は30.4％で、繊維製品製造業（41.1％）、医療・福祉（39.5％）、生活関連サービス業・娯楽業（38.0％）で高く、建設業（22.5％）、金属工業（25.1％）、運輸業（25.5％）で低くなっている。

メタボリックシンドローム該当者の割合は15.6％で、建設業（21.5％）、木製品・家具等製造業（19.2％）、金属工業（18.8％）で高い一方、医療・福祉（9.4％）、繊維製品製造業（9.9％）、生活関連サービス業・娯楽業（12.5％）で低い。最高と最低の差は2.3倍に達する。

また、メタボリックシンドローム予備群の割合は14.0％で、建設業（16.9％）、金属工業（16.0％）、木製品・家具等製造業およびその他のサービス業（15.8％）で高く、医療・福祉（7.9％）、繊維製品製造業（9.9％）、飲食料品小売業（11.3％）で低かった。

高血圧治療薬の使用割合
最高19.5％、最低8.7％

被保険者の医療の受診状況をみると、高血圧治療薬を使用している者は15.6％で、建設業（19.5％）、木製品・家具等製造業（18.7％）、運輸業（17.9％）で高い一方、労働者派遣業（8.7％）、生活関連サービス業・娯楽業（10.4％）、繊維製品製造業（12.7％）で低かった。

脂質異常症治療薬を使用している者の割合は9.6％で、複合サービス業（11.7％）、建設業（11.3％）、電気・ガス・熱供給・水道業（10.9％）で高く、労働者派遣業（3.1％）、生活関連サービス業・娯楽業（6.3％）、繊維製品製造業（8.2％）で低い。

糖尿病治療薬を使用している者の割合は4.7％で、建設業（6.6％）、金属工業（5.7％）、複合サービス業（5.5％）で高い一方、労働者派遣業（3.1％）、繊維製品製造業（3.2％）、生活関連サービス業・娯楽業（3.5％）で低くなっている。

このほか、気分（感情）障害（躁うつ病含む）の入院外の有病者割合は1.7％、神経症性障害、ストレス関連障害および身体表現性障害の入院外の有病者割合は1.6％で、いずれも情報通信業（気分障害2.2％、神経症性等障害2.0％）が最も高く、宿泊業、飲食サービス業（同1.2％、同1.1％）が最も低かった。

喫煙者割合は約3割
高低差は2.7倍に

被保険者の生活習慣をみると、現在、たばこを習慣的に吸っている者の割合は29.5％で、労働者派遣業（55.0％）、運輸業（37.8％）、木製品・家具等製造業（36.8％）で高い一方、医療・福祉（20.3％）、金融業・保険業（20.8％）、情報通信業（24.8％）で低い。喫煙者割合の最高と最低の差は2.7倍に達する。

20歳時の体重から10㎏以上増加している者の割合は41.9％で、建設業（49.6％）、教育・学習支援業（45.7％）、その他のサービス業（45.4％）で高く、医療・福祉（31.7％）、繊維製品製造業（34.7％）、紙製品製造業（38.2％）で低くなっている。

一方、1回30分以上の軽く汗かく運動を週2日以上、1年以上実施している者の割合は21.8％で、電気・ガス・熱供給・水道業（25.4％）、運輸業（24.4％）、学術研究・専門・技術サービス業（24.2％）で高い一方、複合サービス業（15.7％）、飲食料品以外の小売業（16.0％）、教育・学習支援業（17.4％）で低かった。