健保ニュース
健保ニュース 2021年2月下旬号
医療保険部会
佐野副会長 拠出金軽減措置の拡充を
引き続き改革を推進
健保連の佐野雅宏副会長は12日の社会保障審議会医療保険部会(部会長・田辺国昭国立社会保障・人口問題研究所所長)で、今国会に提出された「全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案」の確実な実施を求めると同時に、国民皆保険の持続可能性を確保して将来世代に引き継ぐために、今後の医療保険制度のあり方について、引き続き検討を進める必要性を強調した。特に、高齢者医療拠出金負担の軽減措置を拡充するよう訴えた。
今回の改正は、現役世代の負担軽減を図る観点から、一定所得以上の後期高齢者の医療費自己負担を1割から2割に引き上げるのが柱のひとつ。
2割引き上げの対象は、後期高齢者の所得上位30%(現役並みを除き23%)の基準に相当する単身で年収200万円(複数世帯は後期高齢者の年収合計320万円)以上とする予定で、改正法成立後に政令で定めることとなっている。
2割引き上げによる後期高齢者支援金の負担軽減効果額は、令和4年度で合計▲720億円と試算され、このうち健保組合は▲240億円を占める。ただ、これは通年実施の場合の財政影響であり、2割負担の導入時期は4年度の後半(4年10月~5年3月)のため、最も早い10月施行でも効果額は通年の5か月分となる。施行時期が後ろにずれるほど財政効果は小さくなる。
佐野副会長は、健保法等改正案について、後期支援金の急増が見込まれるなかで、今回の見直しによる現役世代の負担軽減額は十分な水準でないとしたが、「少しでも負担増を抑制することが重要なので、確実な実施を期待したい」と述べた。
また、医療保険部会で昨年末にまとめた「議論の整理」を引き合いに、傷病手当金や任意継続被保険者制度など先送りされた課題も含めて、今後の医療保険制度のあり方をさらに検討し、改革を順次進めることが重要と強調した。
団塊の世代が後期高齢者となり始める来年以降、拠出金負担増を緩和するための現行の高齢者医療運営円滑化等補助金の確実な確保や、特別負担調整の拡充を要請した。
さらに、健保連が従来から主張する拠出金負担の上限設定の検討と合わせて、過重な財政調整が行われている現行の前期高齢者納付金の不合理な計算方法を見直す必要性にも言及した。