健保ニュース
健保ニュース 2021年2月中旬号
再生医療等製品の医療保険上の取扱い
幸野理事 薬価の高額算定を牽制
中医協総会は3日、再生医療等製品の医療保険上の取り扱いを審議し、CAR─T(キメラ抗原受容体導入T)細胞療法による悪性リンパ腫治療用の「イエスカルタ点滴静注」について、医薬品の例により対応することを了承した。
「イエスカルタ点滴静注」は、令和元年5月22日に3349万円で薬価基準に収載された「キムリア点滴静注」に続く2例目のCAR─T細胞療法の再生医療等製品となる。
今後、薬価算定組織で償還価格を検討し、4月以降の中医協総会で薬価基準への収載について審議する。
健保連の幸野庄司理事は、現行の薬価算定基準にもとづいて「キムリア点滴静注」を類似薬に、「イエスカルタ点滴静注」を類似薬効比較方式で算定する場合、高額な薬価となることが想定されると問題提起した。
オーダーメードで作られる再生医療等製品は、同じような製品でも研究開発費や製造原価、流通コストも大きく異なると指摘し、単純に類似薬効比較方式で算定するのは妥当な薬価算定方式でないと主張。
今回は例外的な措置として、「薬価算定組織からメーカーに対し、製造総原価の申告などを求め、そういったものも考慮したうえで薬価算定を行うべき」との考えを示した。
厚生労働省は、「再生医療等製品に関する治験が蓄積した後の対応として、医療保険上の取扱いに関し、独自の体系を作るかどうか引き続き検討することとされている」と言及したうえで、今回は企業から様々な情報提供を受けながら算定作業を進めていくと応じた。