健保ニュース
健保ニュース 2021年1月下旬号
3年度の健保組合予算編成方針
保険料率設定 中長期的視点の検証も
事業継続体制を新設
厚生労働省は令和2年12月25日、来年度に向けた健保組合予算編成方針「健康保険組合の令和3年度予算の編成について」を保険局保険課長から健保組合理事長に通知した。
3年度予算編成については、▽保険料率▽保険料額の負担割合▽法定準備金▽一部負担還元金・付加給付▽保健事業▽保険給付の適正化▽事務処理体制▽共同事業の推進▽個人情報の流出防止策─の9項目を重点事項としたうえで、事務費や保険給付費、高齢者医療拠出金などの計上にかかる具体的な考え方を示している。
このうち、保険料率の設定に必要な医療費の推計については、最近の医療費の動向に加え、薬価等の改定の影響を踏まえる必要性などを指摘した。また、今回の新型コロナウイルス感染症の影響などを受けて、中長期的にも安定的な財政運営を行うことを重視し、医療費や積立金、事業内容などを検証し、「加入者の年齢構成等を踏まえた将来的な医療費の動向を踏まえた保険料率や積み立て状況を考慮すること」との対応方針を新たに示した。
保健事業では、「第2期データヘルス計画の中間評価・見直し」(令和2年12月14日付事務連絡)にもとづく見直し後の計画を踏まえ、事業を本格稼働するよう必要な予算を計上する。
事業主とのコラボヘルスでは、従業員の健康管理を経営的な視点で捉えて実践する健康経営に取り組む企業が増えていると指摘するとともに、コラボヘルスのツールとして活用する健康スコアリングレポートが、3年度から現行の保険者単位に加えて、事業主単位でも提供される方針を示した。
事務処理体制では、「事業継続体制」の項目を新設した。新型コロナを契機とする「健康保険組合における事業継続について」(2年4月6日付事務連絡)の重要性を踏まえ、テレワーク環境、電子決済システムや電子文書保存にかかる整備、テレビ会議システム、web会議システムなどの導入に取り組む必要性を指摘した。事業継続体制にかかるテレワーク環境等に要する経費は、(項)需用費に計上する。
事務費の国庫負担収入は、2年度と同様、一般分の被保険者1人当たり月額を単一組合10円・総合組合15円、介護分の2号被保険者1人当たり月額を単一2円・総合3円とする。
このほか、予算の計上に関連して、2年11月から運用を開始した健保組合に対する社会保険手続きの電子申請システムに要する運用・保守経費については、健保連で特別連合会費(仮称)として費用徴収する予定であることから、所要の経費を(目)連合会費に計上する。3年度の経費は、健保連から今後提示される額にもとづき計上する。
社会保障・税番号制度関連施策への対応で、医療保険者等中間サーバーの運用・保守経費は加入者1人当たり、月額1.51円を計上する。
新型コロナの影響を受けて、2年度中に納付猶予した保険料について、3年度中に収納が見込まれる場合はその額を予算計上する。
予算編成基準を一部改正
また、厚労省は同日付で、健保組合の予算編成基準を一部改正し、保険局長から健保組合理事長に通知した。
3年度の健保組合予算編成に適用するもので、介護納付金の全面総報酬導入に伴い納付金の負担増を緩和する国の助成措置が、2年度限りの特例対応であり、3年度は予定されていないことから、介護勘定の収入の部の国庫補助金の受け入れを削除。収入の部では、過年度納付金が確定したことによる戻し金の収入を計上するため、雑収入の目に「介護納付金還付金収入」を新設した。