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健保ニュース 2021年1月中旬号

令和3年度健保組合関係予算案
拠出金軽減助成は820億円を継続
15か月予算 保険者機能支援事業を拡充

政府は令和2年12月21日の閣議で令和3年度予算案を決定し、これに伴い厚生労働省所管の健保組合関係助成費も決まった。健保組合関係助成費は、新型コロナウイルス対策を柱とする2年度第3次補正予算案(12月15日閣議決定)と合わせて、切れ目のない15か月予算とする政府の方針を踏まえて一体的に編成。本予算は882.1億円だが、補正予算を合わせた規模は944.8億円(2年度当初予算に比べ44.4億円増)となる。このうち、高齢者医療支援金等負担金助成事業など拠出金負担増を軽減するための財政支援は2年度当初予算と同額の820.4億円を計上した。3年目を迎える保険者機能強化支援事業は、3年度分を前倒しで補正予算で一体的に取り扱い、約32億円増の50.6億円を計上し、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえて、補助率を引き上げるほか、対象組合を拡大する。

3年度予算案における健保組合関係助成費は、高齢者医療運営円滑化等補助金など一般会計分が879億5018万円、復興特別会計にもとづく補助金が2億5780万円で合計882億797万円を計上。補正予算案には62億7260万円を計上しており、補正と本予算と合わせた総額は944億8057万円(2年度当初予算に比べ44億3898万円増)の規模となる。

高齢者医療運営円滑化等補助金のうち、前期高齢者納付金に着目して拠出金の負担増を抑制する高齢者医療支援金等負担金助成事業に720億4486万円(指定組合への助成7.9億円を含む)を計上。

また、拠出金が過重な上位保険者の負担を軽減する高齢者医療特別負担調整交付金に100億円を計上し、支援金等負担金助成を含めて拠出金の負担を軽減する財政支援は合計約820億円で、いずれの助成事業も2年度当初予算と同額を計上した。

支援金等負担金助成のメニューである保険者機能強化支援事業は、2年度補正予算として50億5633億円(2年度当初予算に比べ32億1960万円増)を充てる。

同事業は、厳しい財政状況にある健保組合を対象に、保険者機能の発揮を促す観点から、保健事業等の実施にかかる費用に助成するもの。令和元年度から3年度まで3か年の時限措置として実施し、補助対象組合は3か年の収支均衡計画を策定する。元年度に35組合が対象となり、3年目に入る。

現行の対象組合については、平成30年度の保健事業などにかかった経費から事業拡大分の増加額に対して、1人当たり保健事業費が全組合平均の半分未満の組合に一定の上限の範囲内で2分の1を、半分以上の組合に3分の1を助成している。

今回、補正予算で手当てする同事業の内容は、新型コロナウイルス感染症の影響に伴い保険料収入が減少すると見込んで、①3年度事業の前倒し(18.4億円)②補助率の引き上げ(16.1億円)③対象組合の拡大(16.1億円)─を予定している。

①と②は既存分の事業として現行の35組合を対象とし、③は同事業の要件に該当すると見込まれる健保組合を新たに助成対象とする。

①は、継続的な保健事業が阻害されないよう、保健師や会場確保など実施体制の準備、密集を避ける開催場所の確保や参加人数の制限など、感染予防に取り組みつつ全体の事業規模を維持するため、2年度に前倒しして2分の1、3分の1を助成する。

②は、2年度交付分の補助金から上積みして、現行2分の1助成を全額補助に、3分の1助成を2分の1助成に補助率を引き上げる。

③は、▽保険料率が9.5%以上▽財源率が9.0%超▽保有資産が法定準備金の200%未満▽単年度経常赤字─のすべての基準に該当する組合に助成する。

このうち、保険料率、財源率、保有資産は現行の助成対象の要件を踏襲するが、経常赤字については単年度として、現行の過去3か年度連続赤字よりも緩和する。また、現行は保健事業など補助対象経費の上積み分に助成するが、③では、従前の保健事業費の維持も困難になると想定し、事業費を拡大しなくても、前年度と同額を補助対象経費の上限として、この範囲の事業規模の2分の1、3分の1を2年度に前倒しして助成する。単年度事業として助成する。

同じく補正予算の特定保健指導推進事業費補助金は、特定保健指導対象者の受診控えに対する受診勧奨や、ICTを活用した特定保健指導への切り替えに要する費用について保険者に補助するために、健保組合、協会けんぽ、国保の各制度一体で12億1627万円を計上した。

このほか、3年度の健保組合事務費負担金は、一般、介護分ともに被保険者1人当たり単価を据え置き、2年度当初予算と同額の26億6023万円を計上した。

特定健診・保健指導補助金は、27億1744万円(2年度当初予算に比べ4658万円減)で、特定健診・保健指導の実施に要する経費の3分の1相当を助成する。

保険者が実施する糖尿病性腎症重症化予防事業は、特定保健指導の対象となっていない人工透析導入前の患者に対し医療機関と連携して保健指導する健保組合に助成するもので、4565万円を計上した。

被用者保険運営円滑化推進事業の「特定保健指導等支援の共同事業」は、健保組合の保健師共同活用への助成に約3.3億円を計上した。共同事業のうち、健保連本部が実施する保健事業の基盤強化分の見直しにより、2年度当初予算に比べ3822万円の減額となった。

同じ項目の「レセプト・健診情報等を活用したデータヘルス推進事業費」は、健保連分に1650万円(同4950万円減)を計上し、データヘルス計画の評価指標の標準化や保健事業のパターン化に関するデータ分析を行う。約5000万円の減額だが、これは、健保組合の保健事業を支援するためのガイドラインの冊子が今年度中に作成されることなどを踏まえた対応となっている。

健保組合向けの「レセプト・健診情報等を活用したデータヘルス推進事業費」は、約1.4億円を計上し、成果連動型民間委託方式(PFS)の保健事業などに助成する。

復興特別会計は、東日本大震災に伴う原発事故避難者の受診時一部負担減免に補助する災害臨時特例補助金などを計上している。

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