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健保ニュース 2021年新年号

一般の外来・入院診療など対象
基本診療料に一定点数を加算
中医協審議の形骸化が問題に

中央社会保険医療協議会(小塩隆士会長)は12月18日、会合を開催し、新型コロナウイルス感染症を踏まえた診療にかかる特例的な対応を了承した。

12月17日の令和3年度予算編成に向けた麻生太郎財務相と田村憲久厚生労働相の大臣折衝を踏まえた内容で、3年4月から9月までの半年間、一般診療などにかかる措置として、初診料や再診料、入院料などの基本診療料に一定の点数を上乗せする加算の算定を認める。

12月14日に持ち回りで採決した総会と同様、支払側が政府方針の決定後に中医協が追認するという議論の決定プロセスを問題視し、中医協における審議の形骸化を訴えた。

小塩会長は、本来の中医協審議のあり方を認識するよう厚生労働省に強く要望。さらに、これまで実施してきた新型コロナウイルス感染症にかかる診療報酬上の特例的な対応を検証するための議論に着手することを前提に、今回の厚労省の提案に対する理解を求め、支払側、診療側とも了承した。

今回の特例的な対応は、医療機関や薬局の感染症対策の評価として、「新型コロナウイルス感染症診療の手引き・第4版」に沿い、▽全患者の診療で必要な個人防護具を着用▽感染予防策に関する職員研修─などを講じている場合、外来診療、入院診療にかかる基本診療料への一定の加算点数を設ける。

医科・歯科の「初診・再診」などは、1回当たり「5点」、「入院」は1日当たり「10点」、「調剤」は1回当たり「4点」、「訪問看護」は1回当たり「50円」の各加算を医療機関などは算定可能となる反面、患者の負担は重増する。

3年4月から9月末までの間に行うこととし、10月以降は延長しないことを基本の想定としつつ、感染状況や地域医療の実態などを踏まえ、年度前半の措置を単純延長することを含め必要に応じ柔軟に対応することとしている。

健保連の幸野庄司理事は、「厚労大臣から諮問を受け、エビデンスにもとづく議論で両側が合意形成するプロセスが本来の中医協審議の本質である」と指摘し、「政府方針が先に決まり、反対できない状況で中医協が追認するという議論の決定プロセスは、あってはならないやり方である」と問題提起。

政府方針の後、12月14日に持ち回りで採決された小児の外来診療にかかる診療報酬上の特例的な評価も今回の厚労省の提案の引き合いとして、中医協における審議の形骸化を訴えた。

診療側の松本吉郎委員(日本医師会常任理事)は、「中医協の議論が形骸化しているのは、診療側もその通りと思う」との認識を示したうえで、「中医協の議論の決定プロセスに疑問はあるが、まずは、緊急事態にある医療提供体制を崩壊させない対応を図るため、今回の提案に賛成している」と主張した。

小塩会長は、厚労省に対し、「支払側と診療側がエビデンスにもとづき公開の場で議論を尽くすという中医協本来の審議のあり方について認識するよう強く要望する」と強調。

そのうえで、3年10月以降の対応も含む、これまで実施してきたすべての診療報酬上の特例措置を検証するための審議を早急に開始することを前提に、今回の厚労省の提案に対する理解を求めた。

支払側、診療側とも会長の提案について了解した。

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