健保ニュース
健保ニュース 2020年12月中旬号
政府が第3弾の経済対策を決定
健保組合の保険者機能強化支援事業を拡大
小児科支援に特例報酬措置
政府は8日の臨時閣議で、民間投資も含む事業規模73.6兆円の「国民の命と暮らしを守る安心と希望のための総合経済対策」を決定した。
「総合経済対策」は、今年の4月と5月に続く第3弾の追加的な経済対策で、▽新型コロナウイルス感染症の拡大防止策▽ポストコロナに向けた経済構造の転換・好循環の実現▽防災・減災、国土強靭化の推進など安全・安心の確保─が3本柱。
国の財政支出は40兆円程度を見込み、このうち、年末に編成する令和2年度第3次補正予算と3年度当初予算で約30兆円を計上する。2年度補正予算と3年度当初予算を一体的に編成する「15か月予算」の考え方により、切れ目ない財政政策を実行するとした。
3つの柱に位置づけた「新型コロナウイルス感染症の拡大防止策」は、現下の感染拡大の影響を踏まえた緊急的臨時的な対応として、小児科などに対する支援や感染症からの回復患者の転院支援にかかる診療報酬上の特例措置を認める。医療提供体制を確保するため、「新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金」も増額する。
さらに、厚生労働省関係では、厳しい財政状況の健保組合を対象に、保険者機能の発揮を促す観点から、保健事業などに要する経費の一部を助成する「保険者機能強化支援事業」の拡大が盛り込まれた。厚労省は、年内を目途に、事業運営の詳細について検討を進めていく意向を示している。
健保組合にかかる「保険者機能強化支援事業」は令和元年度からスタートし、対象組合は、財政運営安定化に向け策定した3か年の事業計画にもとづき、一般保険料率の引き上げや保有資産の増加、経常収支黒字のいずれかを達成することが求められる。元年度は35組合が助成を受けた。2年度予算は18.4億円を計上し、3年度予算概算要求も同額を計上している。
他方、院内感染を含めた感染症の拡大防止の対応として、感染が収束するまでオンライン・電話による診療・服薬指導が希望する患者によって活用されるよう見直した現在の時限的措置を着実に実施するとともに、オンライン診断に関わる設備整備などを支援する。
合わせて、全国の医療機関や薬局における感染対策・オンライン対応の状況などニーズの高い情報の一元化を進めるとした。
「ポストコロナに向けた経済構造の転換・好循環の実現」は、デジタル・ガバメントの鍵を握るマイナンバーカードの普及促進を一気呵成に進める。マイナンバーカードは、健康保険証との一体化なども通じた普及促進を集中的に行うとした。
さらに、オンライン診療・服薬指導は、デジタル時代に合致した制度として、安全性と信頼性をベースにエビデンスにもとづき恒久化を行うとともに、生活に密着する医療・福祉などの分野における利便性を高めるICT化などを推進する。
このほか、現下の感染拡大の影響を踏まえ、感染拡大により予期せぬ不足を生じた必要な経費には、引き続き、「新型コロナウイルス感染症対策予備費」の適時適切な執行により、迅速・機動的に対応する意向を示した。