健保ニュース
健保ニュース 2020年7月下旬号
健保組合メンタル系疾患の動向
入院外有病者 6・10・12・3月に増加
年齢階層は女性が低い傾向
健保連はこのほど、「平成30年度被保険者のメンタル系疾患の動向に関するレポート」を公表した。
レポートは、職場のメンタルヘルス対策の観点から、1280組合の被保険者(約1533万人)の医科・調剤レセプト(1億3766万件)をもとに、▽統合失調症、統合失調症型障害及び妄想型障害▽気分〔感情〕障害(躁うつ病を含む)▽神経症性障害、ストレス関連障害及び身体表現性障害─の有病者数や医療費について分析した。
それによると、メンタル系疾患の医科入院外における有病者は、いずれも6月、10月、12月、3月に増加し、女性の方が男性に比べ年齢階層は低い傾向にあることが明らかになった。
また、医科入院外の1人当たり医療費をみると、「統合失調症等」と「神経症性障害等」は「40~44歳」、「気分障害」は「50~54歳」で最も高く、「気分障害」は男性、「神経症性障害等」は女性の方が高いことがわかった。
このほか、1入院当たり医療費(推計)は、「統合失調症等」と「神経症性障害等」は女性、「気分障害」は男性で高かった。
◇統合失調症、統合失調症型障害及び妄想型障害◇
統合失調症、統合失調症型障害及び妄想型障害の医科入院外における有病者数の割合は平均0.44%(男性0.44%、女性0.45%)で、男女とも6月、10月、12月、3月に増加する傾向がみられた。
医科入院外の有病者数は、男性は「40~49歳」が最も多く、次いで、「50~59歳」、「30~39歳」の順となっており、「40~59歳」で全体の6割を占めた。女性は「40~49歳」、「30~39歳」、「20~29歳」の順で、「30~49歳」が全体の6割を占めており、男性に比べ年齢階層が低い傾向が示された。
医科入院外の1人当たり医療費は男性、女性とも平均429円だった。1人当たり医療費を3要素に分解すると、1日当たり医療費5007円(男性5028円、女性4967円)、1件当たり日数1.6日(男女同)、受診率(千人当たり件数)53.4件(男性52.6件、女性54.9件)となっている。
年齢階級別の医科入院外1人当たり医療費は、「40~44歳」が551円と最も高く、次いで、「35~39歳」の544円、「45~49歳」の535円と続く。男女別にみると、男性は「40~44歳」、「45~49歳」、女性は「35~39歳」、「40~44歳」の順で高くなっており、女性の方が比較的若い年齢層で高い傾向にある。
このほか、1入院当たり医療費(推計)は57万8513円となっており、男女別では、男性56万9504円、女性59万9409円で、女性の方が高い。一方、平均在院日数(推計)は61.5日(男性66.8日、女性50.3日)で、男性の方が長かった。
◇気分〔感情〕障害(躁うつ病含む)◇
気分〔感情〕障害(躁うつ病含む)の医科入院外における有病者の割合は平均1.99%で、男性2.04%、女性1.89%と男性の割合が高く、男女とも6月、10月、12月、3月に増加する傾向がみられた。
医科入院外の有病者数は、男性が「40~49歳」、「50~59歳」、「30~39歳」の順に多く、「40~59歳」で全体の6割以上を占めた。女性は「40~49歳」、「30~39歳」、「50~59歳」の順で、「30~49歳」で全体の5割以上を占めており、全体に占める年齢層は男性に比べ低い。
医科入院外の1人当たり医療費は平均2705円(男性2866円、女性2386円)で、男性の方が高かった。1人当たり医療費を3要素に分解すると、1日当たり医療費7313円(男性7530円、女性6843円)、1件当たり日数1.5日(男女同)、受診率(千人当たり件数)243.0件(男性249.3件、女性230.5件)で、受診率と1日当たり医療費の高さが男性の1人当たり医療費が高い要因となっている。
年齢階級別の医科入院外1人当たり医療費は、「50~54歳」が3634円と最も高く、次いで「45~49歳」の3515円、「40~44歳」の3258円と続く。男女別にみると、男性は「50~54歳」、「45~49歳」、「40~44歳」、女性は「40~44歳」、「45~49歳」、「35~39歳」の順で高くなっている。
このほか、1入院当たり医療費(推計)は28万9973円となっており、男女別では、男性29万5327円、女性27万7544円で、男性の方が高い。また、平均在院日数(推計)も43.2日(男性45.7日、女性37.1日)で、男性の方が長かった。
◇神経症性障害、ストレス関連障害及び身体表現性障害◇
神経症性障害、ストレス関連障害及び身体表現性障害の医科入院外における有病者の割合は平均1.72%で、男性1.63%、女性1.92%と女性の割合が高く、男女とも6月、10月、12月、3月に増加する傾向がみられた。
医科入院外の有病者数は、男性が「40~49歳」、「50~59歳」、「30~39歳」の順に多く、「40~59歳」で全体の約6割を占めた。
女性は「40~49歳」、「30~39歳」、「50~59歳」の順で、「30~49歳」で全体の5割以上を占めており、男性に比べ年齢階層が低い傾向が示された。
医科入院外の1人当たり医療費は平均579円(男性525円、女性686円)で、女性の方が高かった。1人当たり医療費を3要素に分解すると、1日当たり医療費1900円(男性1830円、女性2015円)、1件当たり日数1.4日(男性1.4日、女性1.5日)、受診率(千人当たり件数)211.2件(男性199.3件、女性234.9件)で、いずれも女性が男性を上回り、1日当たり医療費が高い要因となっている。
年齢階級別の医科入院外1人当たり医療費は、「40~44歳」が662円と最も高く、次いで「45~49歳」の645円、「50~54歳」の640円と続く。男女別にみると、男性は「40~44歳」、「50~54歳」、「45~49歳」、女性は「40~44歳」、「45~49歳」、「35~39歳」の順で高い。
このほか、1入院当たり医療費(推計)は4万7842円となっており、男女別では、男性4万6120円、女性5万669円で、女性の方が高い。一方、平均在院日数(推計)は27.9日(男性31.5日、女性22.3日)で、男性の方が長かった。