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健保ニュース 2020年6月中旬号

少子化社会対策大綱
不妊治療の保険適用を検討
「希望出生率1.8」を実現

政府は5月29日、令和7年までの少子化対策の指針となる、「少子化社会対策大綱」を閣議決定した。

「大綱」は、「希望出生率1.8」の実現を基本的な目標としたうえで、児童手当の給付の重点化や育児休業給付金の充実など、子育て世代への具体的支援の拡大のほか、効果的な不妊治療に対する医療保険の適用の検討を含む、不妊治療に対する経済的負担の軽減などが盛り込まれた。

少子化社会対策大綱は、少子化社会対策基本法にもとづく総合的かつ長期的な少子化に対処するための施策の指針であり、おおむね5年を目処に見直す。今回は、平成16年、22年、27年に続く第4次の大綱となる。

大綱は、未婚化や晩婚化、有配偶出生率の低下などによって少子化が進行し、令和元年の出生数が推計86万4000人と過去最小を記録したことに対して、「社会経済に多大な影響を及ぼす」と問題提起した。

そのうえで、若い世代が結婚、妊娠・出産、子育ての希望がかなうとした場合に想定される希望出生率1.8を少子化対策の基本的な目標とし、目標を実現するための基本的な考え方として、①結婚・子育て世代が将来にわたる展望を描ける環境をつくる②多様化する子育て家庭の様々なニーズに応える③地域の実情に応じたきめ細かな取り組みを進める④結婚、妊娠・出産、子供・子育てに温かい社会をつくる⑤科学技術の成果など新たなリソースを積極的に活用する─に整理した。

具体的な施策は、現在の児童手当の給付範囲の拡大や効果的な給付のあり方の検討のほか、育児休業給付の充実の検討など、子育て世代への経済的支援を図る。

さらに、妊娠前からの支援として、効果的な不妊治療への医療保険の適用のあり方を含め、不妊治療の経済的負担の軽減を図る方策を検討するための調査研究を行う方針を明示した。

また、妊婦健診の公費負担、出産育児一時金および産前産後休業期間中の出産手当金、社会保険料免除などにより、妊娠・出産に関する経済的負担を軽減することなどを盛り込んだ。

大綱は、施策について、数値目標を設定して進捗を定期的にフォローアップしていくと明記。さらに、少子化対策の充実・強化に向けて、必要な財源確保に対する国民各層の理解を得ながら、社会全体における費用負担のあり方を含め、幅広く検討を進めていく方針を示した。

国民から意見や公募するパブリックコメントでは、3800件超の意見が寄せられ、少子化に対する国民の関心の高さを窺わせる結果となった。

そのうちの約1700件が不妊治療に関連した意見で、今回の大綱に不妊治療に対する医療保険の適用などの経済的負担の軽減を図る方策を検討事項として盛り込むことを後押しする要因となった。

また、その他の意見として、児童手当の支給額の引き上げや所得制限の撤廃、育児休業給付の引き上げなど、子育てに対する経済的支援の拡大や環境の整備を求める意見がみられた。

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