健保ニュース
健保ニュース 2020年6月上旬号
次期改定の検討の進め方を確認
中医協 新型コロナの影響に配慮
検証調査のあり方を議論へ
中央社会保険医療協議会(小塩隆士会長)は5月27日、オンラインで総会を開催し、令和4年度の次期診療報酬改定に向けて、2年度改定の答申書附帯意見に盛り込まれた事項に対する検討の進め方を確認した。
総会や診療報酬改定結果検証部会、入院医療等に関する調査・評価分科会などの各検討の場で2年度改定の影響を検証するとともに、次期改定に向けた調査および必要な検討に着手することを決定した。
一方、今年度と来年度に実施する検証調査については、一定程度、新型コロナウイルス感染症の影響を受ける事態となることが想定され、調査方法や調査内容のあり方が大きな課題となるなか、厚生労働省は、新型コロナウイルス感染症の影響に配慮した形の調査を検討していくとした。
2年度改定で焦点となった、▽医師等の働き方改革の推進▽入院患者のより適切な評価指標や測定方法▽かかりつけ医機能を有する医療機関と専門医療機関との機能分化・連携強化▽オンライン診療・服薬指導の評価のあり方▽対物業務から対人業務への構造的な転換を推進するための調剤報酬のあり方─などに対する影響について、検証部会や入院分科会で検討する。
また、2年度改定で評価が見送られた「病院内における医学的妥当性や経済性の視点も踏まえた処方の取組」についても、検証部会で実施体制・方法等の実態把握や分析を進めたうえで、総会で検討することとした。
診療側の松本吉郎委員(日本医師会常任理事)は、「新型コロナウイルス感染症に伴い医療現場は混乱しており、改定の影響について例年通りの方法で調査を行える状況にはない」と問題提起し、医療現場の混乱状況に配慮した形の調査とすることを求めた。
健保連の幸野庄司理事は、例年行っている調査では、結果が改定による影響なのかどうかを把握することはできないとの認識を示し、新型コロナウイルス感染症の影響を把握できるような内容の調査とすることを要請。
さらに、新型コロナウイルス感染症患者の増加に対応するために容認されたオンライン初診等の診療報酬上の特例措置についても、次期改定の検討に資するエビデンスとして調査対象に追加することが必要との考えを示した。
厚労省は、次期改定に向けて、新型コロナウイルス感染症の影響に配慮した形の調査をどういった視点で実施していくのかについて、今後、検証部会などで検討していくと応じた。
このほか、幸野理事は、「答申書附帯意見20」の「医療機関と関係機関との連携の下で提供される医療の実態に応じた報酬の在り方について引き続き検討すること」が、「調査を行わない」と整理されていることに対し、2年度改定で見直された「治療用装具採型法」について、改定前後の算定状況を把握するための調査を実施するよう要望した。
2年度改定では、医療機関と関係機関との連携の下で提供される医療に関連し、一律700点の「治療用装具採型法」について、▽体幹装具700点▽四肢装具(1肢)700点▽その他(1肢)200点─に細分化。フットインプレッションフォームを使用して足型を採型する「トリッシャム」は「その他」で請求することを明確化した。
幸野理事は、「保険者としては、トリッシャムがその他(1肢)の算定に移行しているのかどうかに興味がある」と述べ、それが把握できるような調査の実施を要請。
厚労省は、算定回数等の実態をどのような形で把握するかは、関係者と相談したうえで進めていきたいと応答した。