健保ニュース
健保ニュース 2020年6月上旬号
厚労省が医療機関の資金繰り支援
診療報酬の概算前払を実施
健保組合の費用負担なし
厚生労働省は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、資金調達が困難となった保険医療機関等について、福祉医療機構等による融資が実施されるまでの間の資金繰りを支援するため、本来令和2年7月に支払われる2年5月診療分の診療報酬等を概算前払いすることを決め、5月27日付で地方厚生局長および社会保険診療報酬支払基金あてに関連通知を発出した。
概算前払いに必要な資金は審査支払機関が金融機関から借入するため、健保組合をはじめとする保険者の費用負担は生じない。また、概算前払いの実施による保険者からの診療報酬の支払スケジュールについても特段の変更はない。
概算前払いは、6月5日までに申請を行った保険医療機関等に対し、特例的に6月下旬に4月診療分の診療報酬等額に加え、5月診療分の診療報酬等額の一部も合わせて支払う仕組み。
概算前払額は、「①令和元年12月~2年2月診療分(2年2月~4月支払分)の平均診療報酬等支払額」から「②4月診療分(6月支払分)の診療報酬等支払額」を減じた額に「10/8」を乗じた額とする。前記の①が1000万円、②が800万円と仮定して計算すると、(1000万円-800万)×10/8=250万円となり、この額が概算前払額となる。これにより、6月の支払額は4月診療分の診療報酬額800万円と概算前払額250万円を合わせた1050万円となる。
ただし、概算前払いされた診療報酬については、7月下旬に支払われる5月診療分の診療報酬等の支払時に減額調整され、減額調整しきれない場合は不足分を支払基金に返還することになる。