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健保ニュース 2020年4月中旬号

新型コロナ感染防止対応
オンライン初診を容認

厚生労働省の「オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」は2日、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、初診からのオンライン診療を推進する方針を示した。通常の診療で初診は対面で行うのを原則としているが、平時でない状況を踏まえ、時限的な措置として実施する。

厚労省はこの日の検討会で、オンライン診療のさらなる活用のケースとして、①既に診断され、治療中の慢性疾患で定期受診中の患者に対し、新たに別の症状についての診療・処方を行う②過去に受診歴のある患者に対し、新たに生じた症状についての診療・処方を行う③過去に受診歴のない患者に対して診療を行う④過去に受診歴のない患者に対し、かかりつけ医等からの情報提供を受けて、新たに生じた症状についての診断・処方を行う─の4つを論点とした。

このうち、定期受診中や過去に受診履歴のある①、②のケースでは、医師と患者の関係が醸成されており、基礎疾患が把握されていることから初診におけるリスクを一定程度軽減できるとみて、緊急的な対応が必要な症状を除き、実施の可否を医師が判断することでオンライン初診を認めることとした。

過去に受診歴のない患者に対して診療を行う③、④のケースのうち、④については、院内感染によりかかりつけ医に就業制限がかかり、その医療機関を受診できなくなった患者を想定し、当該患者の情報が提供された場合のオンライン初診を認める。③は、「外来医療提供体制が危機的な状況」である地域に限定する方針が示されたが、医療関係者の委員から「重症を見逃すリスクがある」などと慎重な意見が相次いだ。

これまでの間、厚労省は、新型コロナウイルス感染防止の措置として、2月28日に発出した事務連絡で、電話やオンライン診療で定期的に受診している慢性疾患患者に対して、これまでと同じ慢性疾患治療薬を処方し、その処方せん情報を患者が希望する薬局にファクシミリなどで送信し、薬局がこれにもとづき調剤できるとした。

さらに、3月19日付の事務連絡では、治療中の慢性疾患患者で血圧の上昇など発生が容易に予測される症状の変化に対して、これまで処方されていない慢性疾患治療薬もオンライン診療による処方を認めた。

その後、加藤勝信厚労相は3月31日の経済財政諮問会議で、初診も含めた診療をオンラインでどの範囲まで対応可能かを至急検討する意向を示した。

政府は、オンライン診療・電話診療などを推し進めるため、規制改革推進会議の下に有識者のタスクフォースを発足させ、4月1日の会合で、風邪など急性疾患や受診歴のない患者に対してもオンライン診療・電話診療を実施できるよう初診対面原則の見直しを求めた。

こうした政府内の議論の流れを受けて、同検討会が2日開かれ、一定の範囲でオンライン初診を認める方向を固めた。翌3日には規制改革推進会議のタスクフォースが、ケース③の過去に受診歴のない患者に対してもオンライン初診を認める必要性を強く主張し、厚労省に再考を促した。政府が7日に閣議決定した緊急経済対策では、規制改革推進会議の意見を踏まえる形で決着した。

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