HOME > けんぽれんの刊行物 > 健保ニュース > 健保ニュース 2020年3月下旬号

健保ニュース

健保ニュース 2020年3月下旬号

医療計画見直し検討会
資源重点活用の外来を明確化
都道府県に機能を報告

厚生労働省は13日の医療計画の見直し等に関する検討会で、外来機能の明確化に向けて、「医療資源を重点的に活用する外来」を医療機関が都道府県に報告する仕組みを提案した。
 医療資源を重点的に活用する外来として、①入院前後の外来(手術、一定の処置、麻酔、短期滞在手術等基本料2.3を算定)②高額等の医療機器・設備を必要とする外来(外来化学療法加算、外来放射線治療加算、一定の検査・画像診断・処置、手術、病理などを算定)③特定の領域に特化した知見を有する医師・医療人材を必要とする外来(ウイルス疾患指導料、難病外来指導管理料などを算定)─の3つの類型を示した。

今後、多くの地域で外来需要が減少していくなか、限られた医療資源を効果的・効率的に活用し、医療の質の向上につなげていくためには、入院機能の分化・連携と同様、地域ごとにどの医療機関でどの程度、医療資源を重点的に活用する外来が実施されているのか明確化し、外来医療の機能分化・連携を進めていくことが重要と指摘。

こうした認識のもと、外来機能の3類型を示し、入院における病床機能報告制度を参考に、医療機関が医療資源を重点的に活用する外来に関する機能を都道府県に報告することを提起した。報告に際しては、病床機能報告と同様、レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)を活用して、国から医療機関に実施状況データを提供する。

具体的な進め方は、▽都道府県の外来医療計画に医療資源を重点的に活用する外来に関する機能分化・連携を位置づける▽医療機関からの報告を踏まえ、外来医療計画の協議の場を活用して、医療機関の自主的な取り組みの進捗状況を共有し、必要な調整を行う▽外来医療計画の協議の場は、制度上、地域医療構想調整会議を活用できることとなっており、入院医療と一体的に議論する─などの方向性を示した。

関係者の自主的な取り組みでは外来機能の分化・連携が進まない場合を想定し、地域医療構想の実現に都道府県知事が関与できる仕組みを先例として、都道府県知事に一定の権限を付与する。

厚労省の提案に対して、健保連の本多伸行理事は、「患者が大病院に集中すると、混乱が生じるので一定の方向性を示す必要がある。大病院、特定機能病院は高度な医療を提供するのが中心であり、専門性の高い外来患者に対応するのが望ましい姿である」との認識を示したうえで、「医療資源を重点的に活用する外来を明確化することに賛成する」と述べた。

今村聡委員(日本医師会副会長)は、外来機能を報告する医療機関の範囲について、「診療所は幅広い診療を行っており、多岐にわたる疾病に対応している。この仕組みを始めていくうえで、診療所から報告を求めるのはやめてほしい」と述べた。

城守国斗委員(日本医師会常任理事)は、「外来機能だけの部分を切り分けて明確化する作業は、地域でうまくいっている医療の連携を分断することにつながりかねない。本来の外来機能明確化からほど遠い」と批判的な見解を示した。

けんぽれんの刊行物
KENPOREN Publication

2024年
2023年
2022年
2021年
2020年
2019年
2018年
2017年
2016年
2015年
2014年
2013年
2012年
2011年
2010年