HOME > けんぽれんの刊行物 > 健保ニュース > 健保ニュース 2020年3月下旬号

健保ニュース

健保ニュース 2020年3月下旬号

新型コロナウイルスに伴う組合事業運営
健保連 保険局長に緊急要望書を提出

健保連は18日、新型コロナウイルス感染症に伴い、健保組合業務や事業への影響が懸念されることから、健保組合業務停止時におけるガイドライン等の提示や、特定健診・特定保健指導の弾力的な運用などを求める佐野雅宏副会長名の緊急要望書を、厚生労働省の?谷浩樹保険局長あてに提出した。河本滋史常務理事が同日、姫野泰啓保険課長に要望書を手交した。

政府は感染症拡大に伴い、各企業に在宅勤務やテレワークを推奨しているが、健保組合は、機密性の高い多くの個人情報を扱うことから、資料を持ち出すことや、インターネット回線を通じた業務を行うことができない。

そのため、健保組合や健保組合のある事業場内に感染者が発生した場合、事業場が閉鎖され業務が停止される恐れがある。健康保険証の発行や現金給付の支給など、健保組合の業務が滞ることで、加入者に与える影響は大きく、各健保組合ともその対応に頭を悩ませている。さらに、事業場内で感染者が発生し、同じ敷地内にある健保組合も事業場と合わせて閉鎖されたこともあり、各健保組合に動揺が広がっている。

こうした状況を踏まえ、要望書では①健保組合業務停止時の対策②特定健診・特定保健指導を始めとした保健事業③オンライン資格確認等の導入④健保組合の財政悪化への対応⑤予防対策および適切な受診行動の情報発信─の5点を厚労省に求めている。(緊急要望書の内容は次の通り)

新型コロナウイルス感染症流行に伴う
健保組合の事業運営等に対する緊急要望

1.健保組合業務停止時の対策について

健保組合の基幹業務システムはインターネットから切り離された環境で運用しており、在宅勤務・テレワーク等での対応が困難である。今後、健保組合役職員に感染者が発生した場合は、健保組合事務所の閉鎖や一部業務を停止せざるを得ない事態も想定される。被保険者証の発行や傷病手当金等の支給などは組合員・加入者の生活に直ちに影響を及ぼすため、業務停止に伴うルールや取り扱い等、非常時における事業継続のためのガイドラインを早急にお示しいただきたい。

また、国からは、多人数の集会・会議等の自粛要請がなされていることから、組合会等について、例外的な取り扱いとして、事業運営通知や会議規則に定めることで書面による審議及び議決を認めていただきたい。

さらに、令和2年度の実地指導監査については、新型コロナウイルスへの対策に全組合が取り組んでいる現状から、当分の間、延期していただきたい。

2.特定健診・特定保健指導を始めとした保健事業について

新型コロナウイルス感染症の流行により、人の集まる場所を避けるため多くの保健事業等が中止・延期となっている。特に、労働安全衛生法の事業主健診については、厚労省より令和2年5月末まで実施の延期が認められており、特定健診実施率に大きな支障が出る可能性がある。また、保健指導についても事業主や対象者から中止の要請が相次いでいる状況である。

実施延期により、健保組合に不利益が生じないよう、加算・減算の評価、各種事業未達による国庫補助の返還等についてご配慮いただくとともに、労働安全衛生法の健診同様、弾力的な運用について検討いただきたい。

3.オンライン資格確認等の導入について

「オンライン資格確認等導入に関する全国説明会」は、健保組合にとって制度開始に向けた準備等を確認する重要な機会であったと認識している。このたび、集会自粛要請から止むを得ず中止されたが、早急に代替手段を検討するなど、健保組合への丁寧な周知をお願いしたい。

また、オンライン資格確認等の導入にあたっては、現在の状況に鑑み、医療機関の体制整備も含めて十分な準備期間を設けるように配慮いただきたい。

4.健保組合の財政悪化への対応について

今後、新型コロナウイルス感染症の発生・拡大がさらに続けば、経済活動の低迷・企業業績の悪化による保険料収入の急減など、健保組合財政に多大な悪影響を及ぼしかねない。さらに、PCR検査の保険適用に伴い、保険者は検査費用のみならず、給付費や拠出金負担も増大し、一層厳しい状況に陥ることが懸念される。

今回の災禍により健保組合に過度な負担が生じないよう、政府による緊急経済対策に健保組合への財政支援策を盛り込むなど、特段の配慮をお願いしたい。

5.予防対策および適切な受診行動の情報発信について

健保組合では予防対策および適切な受診行動を促す広報を実施しているが、国においても、医療崩壊に繋がらないよう、更なる広報の強化と、PCR検査の正しい知識(偽陽性・偽陰性、検査の限界等について)を国民に情報発信していただきたい。

けんぽれんの刊行物
KENPOREN Publication

2024年
2023年
2022年
2021年
2020年
2019年
2018年
2017年
2016年
2015年
2014年
2013年
2012年
2011年
2010年