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健保ニュース 2020年1月中旬号

オンライン資格確認用カードリーダー
支払基金が一括購入して配布

医療保険部会は12月25日、オンライン資格確認システムの令和3年3月本格稼働に向け、社会保険診療報酬支払基金が顔認証付きのマイナンバーカード読み取り端末を一括購入し、医療機関に提供することを了承した。2年度半ばから端末の導入を進める想定で、次期通常国会に提出する法案に支払基金の業務追加を盛り込む。

オンライン資格確認に使う端末の整備は、元年5月に成立した改正医療介護総合確保法にもとづき、支払基金に設置した医療情報化支援基金から医療機関に経費を補助することになっていた。その後、デジタル・ガバメント会議が策定した方針で、窓口の職員が患者からカードを預からない顔認証方式を採用することが決まり、可能な限り端末を安くすることが必要になった。支払基金がまとめて調達すれば価格を抑えやすいうえに、医療機関にとっては費用の補助に比べて負担感が軽く、個別に業者と直接やりとりせずに済み、速やかな普及につながる。現行の規定では支払基金がこうした業務を行うことができないため、法改正する。

この日の医療保険部会は、オンライン資格確認等システムに関連し、薬剤と特定健康診査の履歴情報を患者本人や医師らが安全に閲覧する仕組みを、省令で整備する方針も確認した。薬剤情報の内容は、医療機関が患者に交付する診療報酬明細書と同じ範囲とする。特定健診については、オンライン資格確認を活用して保険者間で情報を引き継ぐ際に、本人の個別同意が不要となるよう、特定健診・保健指導の実施基準を定めた省令で、情報漏洩の防止措置を講ずることを規定する。個人情報保護法の見直しに関する議論を注視しながら必要な対応も行う。

オン資確認など運用・保守
厚労省試算で年間21億円

厚生労働省は同日の部会に、オンライン資格確認などの運用・保守費用に関する試算を示した。それによると、一連のシステムがすべて稼働する令和4年度でオンライン資格確認に16億円、レセプト振替に3億円、特定健診・医療費・薬剤情報に3億円かかり、合計が約21億円になると見込んだ。このなかには、マイナンバーカードによるオンライン資格確認で発生する地方公共団体情報システム機構(J-LIS)が電子証明書の有効性を確認するための手数料は含まれない。

健保連の佐野雅宏副会長は、「手数料を保険者が負担することは絶対にないようにしてもらいたい。当面は既存の保険証とマイナンバーカードが併存するなかで、マイナンバーカードだけに手数料がかかれば、保険者としてもマイナンバーカード導入の促進は極めて困難」と主張した。安藤伸樹委員(全国健康保険協会理事長)は、「J-LISの手数料は1件2円で、ほぼすべての国民がマイナンバーカードを取得するとかなりの費用がかかる」と指摘した。原勝則委員(国民健康保険中央会理事長)も、「手数料は国においてしっかり対応をとってもらいたい」と述べた。

マイナンバーカードの保険証利用をめぐっては、デジタル・ガバメント会議の方針で、「運営費については、可能な限り縮減に取り組むこととし、J-LISの手数料の在り方についても検討する」とされ、関係省庁との間で対応を協議中だ。

このほか厚労省はクラウドに移行後の医療保険者等中間サーバーの運用・保守に19億円かかり、オンライン資格確認などと合わせた運用・保守費用の総額は約39億円になると推計した。

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