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健保ニュース 2020年1月中旬号

令和2年度健保組合関係予算
拠出金軽減助成は720億円を継続
2年目の保険者機能支援は18.4億円

政府は12月20日に令和2年度予算案を閣議決定し、厚生労働省所管の健保組合関係助成費に800.4億円(前年度比4.3億円減)を計上した。このうち、高齢者医療運営円滑化等補助金の高齢者医療支援金等負担金助成は前年度と同額の738.8億円で、内訳も同様、高齢者医療拠出金の過重な負担を軽減する財政支援に720.4億円、2年目となる保険者機能強化支援事業に18.4億円を盛り込み、それぞれ前年度と同じ規模の予算を計上した。拠出金負担の軽減を目的とする補助金は、消費税増収を主要財源とする「社会保障の充実」のなかのメニューの「被用者保険の拠出金に対する支援」に含まれているが、消費税率8%時の平成29年度予算で合計720.4億円が計上されてから据え置かれ、消費税率10%が通年化する2年度も合わせて4年連続の同水準となる。

2年度の健保組合関係助成費は、高齢者医療運営円滑化等補助金など一般会計分が797億8370万円(前年度比4億3019万円減)、復興特別会計にもとづく補助金が2億5790万円(同4万円減)で、合計800億4160万円(同4億3024万円減)を計上した。

一般会計分の内訳は、▽事務費負担金=26億6023万円(同増減なし)▽特定健康診査・保健指導補助金=27億6402万円(同増減なし)▽高齢者医療制度円滑運営事業費補助金の「保険者が実施する糖尿病性腎症重症化予防事業」=4565万円(同60万円減)▽高齢者医療運営円滑化等補助金=743億1380万円(同2億1212万円減)。

前年度の予算と同額か、下回る事業が大半を占めるなか、健保組合助成費トータルの減少要因は、高齢者医療運営円滑化等補助金の減額のほか、元年度予算に計上したデータ標準レイアウト改版に伴うシステム改修経費2.2億円が不要となる影響が大きい。

高齢者医療運営円滑化等補助金の内訳は、高齢者医療支援金等負担金助成事業が738億8159万円(同増減なし)、特定保健指導等支援の共同事業やデータヘルス推進事業に助成する「被用者保険運営円滑化推進事業」が4億3221万円(同2億1212万円減)。

高齢者医療支援金等負担金助成事業の柱である過重な拠出金負担を軽減する補助金は、前期高齢者納付金の負担増緩和を主要目的とし、平成29、30年度、令和元年度と続いて600億円は社会保障の充実、120億円は既存分から助成する枠組みで手当てされ、合計720.4億円を計上。このなかには指定組合に助成する費用7.9億円が含まれている。

支援金等負担金助成は、29年度から後期高齢者支援金を負担能力に応じた負担方式とする全面総報酬割に移行することを踏まえ、後期支援金を含んだ既存分の助成を2分の1総報酬割とした27年度に199億円、3分の2総報酬割の28年度に160億円、29年度に120億円と総報酬割の拡大に伴い段階的に圧縮。

一方、社会保障の充実として、主に前期納付金の負担軽減に着目した支援金等負担金助成を27年度から段階的に拡充し、29年度に600億円まで増額した。これにより、既存分の120億円と新規の拡充分600億円を合わせて720億円規模となり、現在に至っている。

支援金等負担金助成のもうひとつの事業である、保険者機能強化支援事業は、厳しい財政状況にある健保組合を対象に、保険者機能の発揮を促す観点から、保健事業等の実施にかかる経費の一部を経過的に助成する。令和元年度からスタートした事業で、対象組合は財政運営安定化に向けた3か年の事業計画を策定し、これにもとづき一般保険料率の引き上げや保有資産の増加、経常黒字のいずれかを達成することが求められる。

同事業の要件に該当する39組合のうち、元年度に35組合が助成対象となり、2年目に入る。

高齢者医療運営円滑化等補助金の被用者保険運営円滑化推進事業で「特定保健指導等支援の共同事業」は、健保組合の保健師共同活用への助成に約3.3億円、サポート対象組合の効果的な保健事業の実施に向けた健保連による技術的な支援などへの助成に約0.3億円を計上した。全体としては前年度に比べ3792万円の減額となった。

同じ項目の「レセプト・健診情報等を活用したデータヘルスの推進事業費」は、健保組合向けの助成を終了させ、予算計上を見送った。健保組合の先進的な保健事業に始まり、中小規模を含む複数健保組合の共同事業に助成していたが、27年度の導入から5年が経過することを踏まえ、今後はこれまでに蓄積した取り組みの展開に期待する。

こうした観点から、健保組合を支援するための健保連分データヘルス推進事業費に2380万円増の6600万円を計上し、好事例を健保組合に広めるための手引きの作成や第2期データヘルス計画の推進に充てる。

健保組合事務費負担金は、一般分、介護分ともに被保険者1人当たり単価を据え置いた。
 特定健診・保健指導補助金は、健診・保健指導にかかる費用の3分の1相当額を助成する。

保険者が実施する糖尿病性腎症重症化予防事業は、特定保健指導の対象となっていない人工透析導入前の患者に対し、医療機関と連携して保健指導する健保組合に助成するもので、予算の執行率を踏まえ、4565万円を計上した。

復興特別会計は、東日本大震災に伴う原発事故避難者の受診時一部負担減免に補助する災害臨時特例補助金に2億5770万円を計上した。

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