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健保ニュース 2020年1月新年号

令和2年度予算財務・厚労大臣合意
診療報酬改定 全体0.46%引き下げ
救急医療の働き方改革に特例枠

麻生太郎財務相と加藤勝信厚生労働相は12月17日、令和2年度政府予算編成の重要事項を折衝し、夏の概算要求時点で5300億円と見込んだ社会保障関係費の実質的な伸びについて、高齢化による相当分の4100億円程度におさめることを合意した。主に医療費のマイナス改定と介護納付金の全面総報酬割によって約1200億円抑制する。「社会保障の充実等」には消費税増収の半分程度と重点化・効率化でねん出した財源を充て、公費ベースで1兆7300億円を増額し、医師の働き方改革やマイナンバーカードの健康保険証利用などを推進する。介護納付金の全面総報酬割に伴い、被用者保険への財政支援を単年度に限って実施することも盛り込んだ。

医療費の改定率は、医療機関や薬局の経営原資となる診療報酬がプラス0.55%(国費600億円程度)、薬価がマイナス0.99%(同▲1100億円程度)、材料価格がマイナス0.02%(同▲30億円程度)に決まった。差し引き0.46%程度のマイナス改定(同500億円程度)で、3回連続の引き下げとなる。

診療報酬については、過酷な救急病院の勤務医対策として、消費税財源を活用した特例的な対応に0.08%(同90億円程度)を振り向ける枠を設定した。これを除いた部分の改定率は0.47%で、各科改定率は技術料割合を踏まえて医科0.53%、歯科0.59%、調剤0.16%とした。

薬価の改定率は、令和元年9月の市場実勢価格調査にもとづく既存制度での対応分がマイナス0.43%(同▲500億円程度)、市場拡大再算定見直しなどの制度改正分がマイナス0.01%で、残りは消費増税に伴う臨時改定の通年度化効果だ。臨時改定では、平成30年度改定から昨年9月までにおける市場実勢価格の下落を先取りするかたちで反映させ、令和元年度予算への影響は5か月分だったが、2年度予算には7か月分の影響が生じた。厚労省は薬価ベースの引き下げ率を、薬価全体で4.38%と推計し、このうち次期の既存制度分で1.98%、制度改正分で0.05%と見込んだ。

材料価格の改定率は、次期の既存制度分が医療費ベースで0.01%(同▲10億円程度)になる。

全面総報酬割を緩和
国庫31億円を投入

介護納付金の全面総報酬割による財源効果は600億円程度を想定した。さらに、総報酬割の導入から3年間の時限措置とされた被用者保険に対する激変緩和94億円が終了することも、社会保障関係費の伸び抑制に作用する。ただ、全面総報酬割によって負担増となる被用者保険が生じるため、令和2年度に限り、被用者保険への国庫補助に31億円程度を投入する。

一方、年金額の引き上げにより国費が100億円程度増える。
 社会保障の充実等については、勤務医の働き方改革を推進する観点から、診療報酬の特例枠のほかに、地域医療介護総合確保基金に公費143億円程度を積み増す。マイナンバーカードの健康保険証利用に関する環境整備として、元年度予算で造成した医療情報化支援基金に公費768億円程度を追加し、医療機関や薬局での読み取り端末を早期に普及させる。

個別課題への対応では、地域医療構想の実現に向け、病院のダウンサイジングを支援する経費として、国費84億円程度を充てる。再編プランを策定した公立・公的医療機関にとどまらず、民間病院なども幅広く対象とし、稼働中の許可病床を1割以上削減した場合、改築などの費用が発生しなくても収入減を補てんする意味合いで、補助金を交付する。令和3年度以降は、法制度に位置づけて消費税財源による支援に切り替える予定だ。

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