健保ニュース
健保ニュース 2020年1月新年号
健保連理事会
大塚会長 要求実現活動を継続展開
後期高齢者2割負担は「一歩前進」
健保連は12月20日、健保連本部で第500回理事会を開いた。大塚陸毅会長は、理事会の冒頭あいさつで、政府の全世代型社会保障検討会議が19日にまとめた中間報告の内容について、「われわれが主張する後期高齢者の2割負担については、所得基準を設ける形としながらも導入する方向とされており、一歩前進したと言える」と指摘した。健保連として引き続き給付と負担についての議論を活発化していく考えを示したうえで、繰り返し主張している「2022年危機」と、これを回避するための重点施策をアピールしていくと強調した。さらに、加入者の健康づくりなど健保組合に優位性のある保険者機能を十分発揮するなど、健保組合の価値、意義の理解促進に向けた取り組みも重視し、令和2年も「われわれの要求を実現するための各種活動を継続して展開していく」と決意を示した。(大塚会長の発言要旨は次のとおり。文責本誌)
理事会の開会にあたり、一言あいさつ申し上げる。まず、先月の全国大会については、過去最多となる4100名の皆さんにご参加いただいた。理事各位、会員組合、都道府県連合会にはご多忙のところ多数出席いただき、改めてお礼申し上げる。また、国会審議中にもかかわらず、多くの国会議員の先生方にも出席いただき、盛会裏に終えることができて強くアピールすることができたと思う。
さて、本年の9月から、われわれは2022年危機を訴え、今必要な重点政策を主張してきた。政府においても、夏の参院選後に全世代型社会保障検討会議が設置され、2022年からの危機的な状況に対する施策の検討が進められている。国民の注目も集まるなか、同会議は昨日、中間報告を発表した。医療分野の制度改革の方向性が大きく報道され、世間の関心も高まってきていると感じる。
その中間報告では、全世代型社会保障の実現に向け、応能負担の考え方が書き込まれ、われわれが主張する後期高齢者の2割負担については、所得基準を設ける形としながらも導入する方向とされており、一歩前進したと言える。肝心の財政への効果をしっかりと見極める必要があるが、われわれが繰り返し主張してきた医療保険制度の危機的状況が伝わったものと思う。
受診時の定額負担や市販類似薬の保険適用除外などの見直しは今後検討されると思われるが、これらについて、健保連においても引き続き検討を重ね、給付と負担についての議論をさらに活発にしていく必要がある。
また、来年4月からの診療報酬改定は、本体プラス0.55%、薬価の引き下げと合わせて全体はマイナスで決着している。医師の働き方改革への対応もあるが、本体の引き下げが行われなかったことは残念であり、薬価の引き下げ分は広く国民全体に還元されるべきものというわれわれの主張は、引き続き行っていかなければならない。
さらに、来年度の政府予算案については、過重な負担に苦しむ健保組合への必要な補助をしっかりと獲得できるよう、現在、ロビー活動を含めたアピールを積極的に展開しているところだ。
令和という新しい時代の最初の年も、早いもので間もなく終わろうとしている。今年は2022年危機や健康保険制度の未来について、特に重点的にアピールを行い、さまざまな世代に対して一定程度の効果があったと感じているが、まだ十分に知られていないこともある。さらなる周知徹底に向け今後もアピールを続けていく。
また、これまでも繰り返し行っている健保組合の価値、意義の理解促進にも取り組み続ける必要がある。保健事業による加入者の健康づくりなど、われわれに優位性がある保険者機能をそれぞれの健保組合で十分に発揮するとともに、健保組合の意義を関係者に丁寧に説明し、納得していただくことが重要である。こうした理解促進の取り組みと同時に、われわれの主張を強く訴え続けることが、要求の実現のためには欠かせない。
来年に向けても、われわれの要求を実現するための各種活動を継続して展開していく。
本日は、来年度の事業計画、予算の基本方針についてお諮りする。各位の忌憚のないご意見をお願いしあいさつとする。