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健保ニュース 2019年11月上旬号

経済財政諮問会議が社会保障改革を議論
民間も含めて病床再編推進
地域医療構想実現を加速

政府の経済財政諮問会議(議長・安倍晋三首相)は10月28日、社会保障改革について議論した。民間議員は提言で、全国で地域医療構想が策定されてから2年以上経過したものの、全病床の7割超が民間病床であることもあり、「その進捗は十分でない」と構想の進み具合が不十分との認識を示し、病床再編について、「公立・公的病院を手始めに、官民とも着実に進めるべき」と主張した。

厚生労働省は病床機能の再編統合を促す観点から、対応方針の再検証が必要と考えられる424公立・公的病院名を9月に公表した。

民間議員の提言は、公立・公的にとどまらず、民間の病床も含めて再編統合を一層推し進める考えで、厚労省に対して、病床過剰地域にある民間病床の再編に資する分析を今年度中に示すよう要請。今後3年程度を集中再編期間と位置づけ、病床機能転換や病床の整理・合理化に積極的な民間病院等に大胆に財政支援する必要性を指摘した。

こうした観点から、医療提供体制の整備に必要な資金を医療機関に交付する地域医療介護総合確保基金については、都道府県別の成果指標の設定・見える化、成果に応じた配分の仕組みを今年度中に構築するよう求めた。

地域医療構想を実現するポイントには、▽急性期から回復期への病床転換▽官民合わせて過剰となる約13万床の病床削減▽介護医療院など介護施設、在宅医療への転換の推進─の3点をあげた。

提言はこのほか、働き盛りの40~50歳代の生活習慣病予防を重視し、この年齢層の特定健診受診率を引き上げるため、保健事業などの取り組みを評価する保険者インセンティブの仕組みを念頭に、評価指標に追加して配点割合を大幅に高めるべきとした。40~50歳代の受診率向上の参考となると取り組みを市町村に提示し、保険者別の取り組みを見える化すべきとしている。

特定健診の内容を簡素化するとともに、地域の医師会などと連携して、血液検査を簡易に実施する民間サービスを特定健診に活用できるよう規制緩和も求めた。

調剤報酬については、薬剤の投与日数や数に応じて調剤料が増える算定方式や、効果が明らかでないお薬手帳の管理など薬学管理料のあり方を見直し、対物業務から対人業務中心へと適正化すべきとした。医療用医薬品の関係では、入院時等の場合を除き、市販品類似薬を保険給付対象から外すことを提案した。

安倍首相は、「持続可能で安心できる地域医療・介護体制を構築していくためには、地域医療構想を実現していくことが不可欠」と指摘し、加藤勝信厚労相に地域医療構想の着実な実現に取り組むよう指示した。

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