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健保ニュース 2019年10月上旬号

被用者保険、経済界が2022年に着眼
佐野副会長 後期2割負担など主張
給付と負担の見直し意見相次ぐ
医療保険部会

社会保障審議会の医療保険部会(部会長・遠藤久夫国立社会保障・人口問題研究所所長)が9月27日に開かれ、健保連の佐野雅宏副会長は医療保険制度改革に向けて集中的に意見を表明した。団塊の世代が後期高齢者に入り始める2022年から保険財政が悪化することに危機感を示し、後期高齢者の自己負担を原則2割とするなどの改革の必要性を強調した。全国健康保険協会や経済界代表の委員からも同様の見解が示され、給付と負担の見直しを求める意見が相次いだ。

厚生労働省の提出資料「医療保険制度をめぐる状況」を踏まえ議論した。資料は、人口と医療費の動向、被用者保険や国保など保険制度の現状、これまでの制度改革を厚労省が整理したもの。「今後、給付と負担のあり方も含めて医療保険制度の見直しを部会で議論することになると思うが、議論の素材としての基本的な資料」(宮崎敦文保険局総務課長)として示された。

健保連の佐野副会長は、健保組合を取り巻く状況について、「健保組合の多くが過重な拠出金負担に苦しんでいる」と強調し、拠出金が急増する「2022年危機」の到来を危惧した。

現状のままでは、2022年度に全組合の過半数で義務的経費に占める拠出金割合が50%を超えるとともに、医療、介護、年金を合わせた健保組合の平均保険料率が30%を超えると指摘。団塊の世代全員が後期高齢者になる2025年度にはさらなる負担増が見込まれ、「現役世代の負担は限界に達している」と窮状を訴えた。

こうした状況を踏まえ、医療保険制度改革に向けて、▽後期高齢者の原則2割負担▽現役並み所得の後期高齢医療給付費への公費投入▽保険適用範囲の見直し─の実現を求めた。

厚労省の提出資料で、後期高齢者の令和元年度の月額保険料が平成20年度から10%の伸びであるのに対し、公費を除いた現役世代1人当たりの支援金保険料相当月額が91%増である点に着目し、「ここに世代間の負担のアンバランスが顕著に表れている」と捉え、要因の分析を求めた。

さらに、必要な制度改革として、前期高齢者医療の財政調整方法について、前期高齢者にかかる後期高齢者支援金も調整される、いわゆる「水増し」の部分の解消を訴えた。

先の通常国会で成立した健保法等改正に伴う衆参両院の厚労委員会で、「財政状況が厳しい健保組合等に対する必要な支援を検討すること」との附帯決議が採択されたことを踏まえ、拠出金負担の重い健保組合に対して、負担増に見合った財政支援を令和2年度予算で確保するよう要請した。

安藤伸樹委員(全国健康保険協会理事長)は、2025年問題が2022年から顕在化することを踏まえ、早急に制度改革に取り組む必要があると指摘し、「とくに後期高齢者の2割負担を実現してほしい」と述べた。このほか、薬剤自己負担の引き上げなど経済・財政再生計画改革工程表の検討事項に加え、現金給付全般の見直しも検討すべきと主張し、「医療保険制度が持続可能となるような将来を見据えた制度のあるべき姿について、あらゆる角度から議論する必要がある」とした。

また、政府の全世代型社会保障検討会議に医療保険部会での議論が反映されることに期待し、検討会議のメンバーである遠藤部会長に部会の議論の状況を検討会議で説明するよう強く求めた。

藤原弘之委員(経団連社会保障委員会医療・介護改革部会長)は意見書を提出した。医療保険制度改革について、▽後期高齢者の2割負担▽市販品類似薬の給付率を引き下げるなど薬剤の保険給付のあり方の見直し▽受診時定額負担の導入─などを提案したうえで、「こうした見直しは、団塊の世代が後期高齢者入りする2022年に間に合うよう、今後スピード感を持って本格的な検討を行うことが重要」と指摘した。

藤井隆太委員(日本商工会議所社会保障専門委員会委員)も同様に2022年危機への認識を示し、「改革工程表にある給付と負担の見直しに関する改革は確実に実施してほしい。とくに後期高齢者の2割負担、外来受診時の定額負担導入を重視している」と述べた。

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