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健保ニュース

健保ニュース 2019年10月上旬号

平成29年度国民医療費
2.2%伸びて総額43兆円超
保険料2.7%増、公費1.4%増

厚生労働省は9月26日、平成29年度の国民医療費が前年度比2.2%増の総額43兆710億円だと発表した。医療費に影響する診療報酬改定や制度改正はなく、人口減少で同0.2%の抑制効果があったが、高齢化で同1.2%増加し、医療の高度化などで同1.2%増加した。1人当たり33万9900円で、同2.4%増加した。

国民医療費は、保険診療の対象になり得る疾病の治療費を推計したもので、評価療養や選定療養、不妊治療、正常分娩、健康診断、予防接種などの費用は含まれない。

平成29年度は過去最高額を更新し、国内総生産(GDP)の同2.0%増を上回って膨らみ、国民医療費の対GDP比は同0.02ポイント上昇して7.87%となった。国民所得(NI)が同3.3%増と高い伸びを示したため、対NI比は同0.11ポイント減の10.66%だった。

制度区分別の内訳は、被用者保険の給付分が同3.9%増の10兆970億円、国民健康保険の給付分が同2.2%減の9兆3301億円、後期高齢者医療の給付分が同4.3%増の14兆7805億円、患者負担分が同2.6%増の5兆2750億円で、加入者数の減少によって国保の給付分が前年度を下回った。70~74歳の患者負担を軽減するための国庫負担は、対象者の段階的縮小により、同36.3%減の713億円となった。

都道府県別の1人当たり国民医療費は、最高が高知の44万9200円で、長崎の41万9900円、鹿児島の41万3900円が続き、最低が千葉の29万8200円で、次いで埼玉の29万9600円、神奈川の30万1200円が低く、最大で1.5倍の格差がみられた。

年齢階級別の1人当たり国民医療費は、65歳未満が18万7000円、65歳以上が73万8300円で、約4倍の開きがあり、とくに75歳以上は92万1500円で65歳未満の5倍に達する。

男性の1人当たり国民医療費が65歳未満18万8600円、65歳以上79万4700円であるのに対し、女性の1人当たり国民医療費は65歳未満18万5400円、65歳以上69万4900円で、いずれも女性が男性を下回るが、人口構成の違いを反映し、全年齢を通じた1人当たり平均額は、男性の33万8600円を女性の34万1200円が上回った。

財源は、全体の半分を占めて最大の保険料が21兆2650億円で、公費の少ない被用者保険の加入者が拡大したことに伴い同2.7%増と比較的大きく伸びた。とくに事業主分が同3.4%増と目立ち、被保険者分は同2.3%増だった。公費は16兆5181億円で、同1.4%増にとどまり、このうち国庫分が同1.7%増、地方分が同1.0%増となった。患者負担と健康被害補償の原因者負担は5兆2881億円で、同2.5%増加した。

診療種類別にみると、全体の7割を占める医科が同2.1%増の30兆8335億円で、このうち入院が同2.6%増の16兆2116億円、入院外が同1.6%増の14兆6219億円だった。歯科は同1.5%増の2兆9003億円、調剤は同3.0%増の7兆8108億円、訪問看護は同16.1%増の2023億円、療養費等は同2.6%減の5287億円となった。

医科の医療費を主傷病で分類した場合、多いほうから循環器系6兆782億円(構成割合19.7%)、新生物4兆3766億円(同14.2%)、筋骨格系.結合組織2兆4456億円(同7.9%)、損傷・中毒・その他の外因の影響2兆3884億円(同7.7%)、呼吸器系2兆2895億円(同7.4%)で、前年度から順位に変化はなかった。65歳未満は新生物、65歳以上は循環器系が最も多かった。

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