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健保ニュース 2019年9月下旬号

中医協が次期通常改定へ2巡目入り
幸野理事 機能分化・役割分担に注目

中央社会保険医療協議会(田辺国昭会長)は11日、令和2年度診療報酬改定に向けて2巡目の議論を開始した。前回改定で新設したり要件変更した項目を中心に意見交換し、健保連の幸野庄司理事は外来、入院、在宅、調剤などの分野ごとに基本的な問題認識を説明した。

外来医療に関しては、初診回数の全体に占める病院の割合がここ数年16%程度のヨコバイであるため、「機能分化が少し進んでないのではないかと感じる」と指摘した。そのうえで、機能強化加算の算定が新設から2か月目で初診の1割近くに相当する月178万回まで普及したことに着目し、「地域包括診療加算に比べて非常に多い。一律に患者へ付けられることが要因ではないか。本当にかかりつけ医機能を果たしているのか、検証部会のデータをもとに議論したい」と述べた。同加算の届出は7月時点で1048病院、1万1793診療所に達する。

入院医療に関しても機能分化を重視し、とくに急性期について、患者7人ごとに看護職を配置する「7対1病棟」から患者10人ごとに看護職を配置する「10対1病棟」へ移行しやすくしたにもかかわらず、「改定後に大きな変化ないことが最大の課題」と主張した。

在宅医療では、患者の意思をより尊重するように要件を見直した「在宅ターミナルケア加算」や、訪問看護ステーションによる介護職員の支援を評価するために新設した「看護・介護職員連携強化加算」の算定が少ないことを踏まえ、今後の動向を注視する考えを示した。複数の医療職による頻回の訪問看護を是正できたのかを確認することも課題にあげた。

支払側が積極的に推進するオンライン診療をめぐっては、昨年5月の算定が全国で診療料65回、医学管理料15回、在宅管理料4回とわずかで、同7月時点の届出施設が65病院と905診療所にとどまるため、「普及していない要因を検証する必要がある」とした。がん患者が仕事を続けながら治療できるように新設した「療養・就労両立支援指導料」や「相談体制充実加算」の算定が極めて少ないことにも注意を促した。

高額医療機器のCT・MRIを効率化する観点から、共同利用をさらに拡大するために「メリハリのある診療報酬の対応が必要」とした。

調剤では、安全で有効な薬物治療につながる「重複投薬・相互作用等防止加算」と「外来服薬支援料」について、「算定回数は増加傾向にあるが、薬局数が約5万9000あることを考えると、絶対数が少ない」と指摘した。薬剤師から処方医への働きかけによる減薬を評価するために新設した「服用薬剤調整支援料」にも言及し、「アウトカムが求められるので難しいとは思うが、薬局数に比べると月189回というのは少な過ぎて、どれだけの薬局がこういう取り組みをしているのか疑われる」と問題視した。

このほか、31日以上の長期処方が増え続けている一方で、薬剤師が適切に介入する「分割調剤」が普及していない実態を踏まえ、「長期処方に伴う残薬の解消など、医薬品の適正な使用を推進するためには、患者や薬局が使いやすい新たな仕組みが求められる」と述べた。

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