健保ニュース
健保ニュース 2019年8月下旬号
公明党厚労部会が根本厚労相に提言
全世代型社会保障へ国民的議論を
拠出金軽減措置拡充を要望
公明党厚生労働部会(高木美智代部会長)は7日、厚生労働省に根本匠厚労相を訪ね、高木部会長が代表して、令和2年度予算概算要求に向けた重点政策提言を申し入れた。
2020年以降、団塊の世代が後期高齢者に移行するのに続き、2040年には団塊ジュニアの世代が65歳となり高齢化が進む一方、現役世代が急減する新たな局面を迎えるなどの社会の変容や国民の生活実態を踏まえ、人生100年時代においてすべての世代が安心できる全世代型社会保障を実現するため、少子化克服を含めたグランドデザインを策定するよう、国民的議論を早急に開始すべきと提言した。
医療保険制度関連では、「被用者保険制度の財政健全化の取り組み」として、高齢者医療制度を含む健康保険の医療費の適正化策を強化し、すべての世代が公平な負担で医療費を支え合うことを可能とするよう求めた。
また、「高齢者医療費の増高に伴い現役世代の負担は過重なものとなっている」と指摘し、適切な見直しを図るとともに、高齢者医療運営円滑化等補助金や特別負担調整、介護納付金の総報酬割の導入に伴う負担軽減措置の拡充などを検討するよう要望した。さらに、現役並み所得の後期高齢者の対象拡大の検討にあたっては、現役世代の負担が増加しないよう留意することにも言及した。
令和2年度診療報酬改定については、質の高い医療の確保に必要な改定を行うため、物価・賃金の動向、医療機関の収支状況、対応が必要な医療の課題などを十分勘案したうえで、適切な改定率を確保することや薬剤費の増加が続くなか薬剤処方の適正化を進めるため、生活習慣病治療薬のフォーミュラリの導入を推進することなどを要望した。
医療提供体制については、地域医療介護総合確保基金を確保し、医療機関の集約化や重点化を行うとともに、病床の機能分化・連携、在宅医療の推進や介護分野との連携など、地域医療構想の実現に向けた取り組みを支援するよう求めた。
このほか、社会保障におけるICT利活用の推進や地域包括ケアシステムの推進、健康寿命の延伸に向けた取り組みの強化などを求めた。
根本厚労相との会談終了後、高木部会長は記者団に対し、「これから負担と給付の議論に入ってくるが、早急に新たな場を設置して国民的議論を開始することや、とくに官邸においては、経済財政諮問会議のように数字だけの議論をするのではなく、国民の多様な意見を取り入れ、議論を進めるべきことをお願いした」と述べ、根本厚労相から「その姿勢でお願いしたい」と回答があったことを明らかにした。