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健保ニュース 2019年7月下旬号

厚労省研究班が報告書
緊急性などで応召義務を判断

厚生労働省は18日、医師法の応召義務に関する研究班(主任研究者・岩田太上智大学法学部教授)の検討結果を、社会保障審議会の医療部会に報告した。医療機関・医師が患者から診療を求められても、▽緊急対応の必要性▽診療時間・勤務時間▽患者との信頼関係─を重要な要素として、診療しないことが正当化され得るとの考えを示した。厚労省は、医療提供体制のあり方や医師の勤務環境なども考慮し、研究班の報告書を踏まえた解釈通知を都道府県へ発出する。

医師法第19条は、「診療に従事する医師は、診察治療の求があった場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない」と定めている。

研究班は応召義務の法的性質について、「医師が国に対して負担する公法上の義務であるが、刑事罰は規定されておらず、行政処分の実例も確認されていない」「私法上の義務ではなく、医師が患者に対して直接民事上負担する義務ではない」とした。ただ、実態として医師の職業倫理・規範として機能し、社会的要請や国民の期待を受け止めてきた背景があるため、「応召義務はその存在が純粋な法的効果以上に医師個人や医療界にとって大きな意味を持ち、医師の過重労働につながってきた側面がある」と指摘した。

そのうえで、「医師には応召義務があるからといって、当然のことながら際限のない長時間労働を求めていると解することは当時の立法趣旨に照らしても正当ではない」と論じ、医師の働き方改革という喫緊の課題を踏まえた解釈を体系的に示した。

医療機関・医師が診療しないことを正当化できるか考える際、「最も重要な考慮要素は、患者について緊急対応が必要であるか否か(病状の深刻度)である」との基本認識に立ち、緊急対応が必要な場合は診療しないことの正当化が「事実上診療が不可能である場合など、著しく限定される」とし、緊急対応が不要な場合は「緩やかに判断する」と結論づけた。

さらに、医療提供体制の変化や医師の勤務環境に配慮する観点から、「診療時間・勤務時間(診療を提供することが予定されている時間)であるか」を判断材料とするほか、患者トラブルが医療現場で現実に問題となっていることを踏まえ、「患者と医療機関・医師の信頼関係も考慮すべき」とした。

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