健保ニュース
健保ニュース 2019年7月下旬号
厚労省・保険者機能強化支援事業
対象組合 保健事業等の拡充に助成
3か年の財政安定化計画を策定
厚生労働省は、令和元年度の高齢者医療運営円滑化等補助金のうち、保険者機能強化の観点から、健保組合が実施する保健事業等に要する費用に新たに助成する「保険者機能強化支援事業」の交付要件など取扱要領を定め、8日付で、保険局保険課長から健保組合理事長に通知した。
この支援事業は、保険者機能を十分に発揮することが困難と考えられる健保組合に対し、①財政検証事業②後発医薬品の使用促進や医療費通知などの保険給付適正化事業③保健事業─の実施にかかる経費の一部を補助するもので、組合事業の円滑な運営を図ることを目的としている。
補助金の交付要件は、▽平成30年2月1日現在の保険料率(調整保険料率含む)が95‰以上▽29年度の財源率が90‰超▽29年度末の保有資産が必要準備金の200%相当額未満▽27~29年度の過去3か年で赤字決算─のすべてを満たす組合。
助成の仕組みは、元年度における財政検証事業、保険給付適正化事業、保健事業の経費の前年度からの増加分に対して、前年度経費を上限として一定の補助率を乗じる。
補助率は、29年度決算の1人当たり保健事業費が全組合平均の半分未満の組合に増加分の経費の2分の1を、半分以上の組合に3分の1を助成する。
39組合が交付対象となる予定で、対象組合には、3年度まで3か年の「財政運営安定化事業計画」を策定させ、健全財政の確立を求める。
事業計画に記載する内容は、一般保険料率の引き上げ、保有資産の増、経常収支差の改善の3つの目標から少なくともひとつを選択して、元年度から3年度末に達成する数値目標を設定する。
一般保険料率の引き上げに関する達成目標は、一般保険料率を実質保険料率と同率まで引き上げることとする。ただし、30年2月1日の一般保険料率と実質保険料率との差が1000分の10以上の場合は、組合の実情に応じた引き上げ率の設定を認めるが、1000分の10の引き上げを必須とする。
保有資産の増は、必要準備金の200%相当額以上を達成する。100%相当額未満の場合は保有資産の2倍以上とすることを選択可能としたうえで、事業計画期間中に目標を達成した場合、必要準備金の200%相当額以上に数値目標を変更する。経常収支差の改善は、黒字化を達成する。
また、補助対象経費とする①~③について、保険者機能強化事業と位置づけ、事業の内容と効果を盛り込む「保険者機能強化事業にかかる計画書」も交付対象組合に策定させる。財政検証事業は、社会保険労務士など外部有識者を活用して、組合の財政運営の分析、課題抽出、改善への取り組みの提案や取り組み状況の評価などを行う。保健事業には、特定健診・保健指導国庫補助金の対象事業経費を原則含まない。
事業計画、計画書ともに今回の通知で示した所定の様式にもとづき策定し、厚労省に提出する。
事業計画にもとづく財政安定化状況については、年度中間報告と年度報告を厚労省に届け出る。年度報告は毎年9月末までに所定の様式にもとづく補助金の事業実績報告と合わせて届け出る。
交付申請期限は8月30日までで、申請書が厚労省に到達した日から原則40日以内に交付決定する。