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健保ニュース 2019年7月中旬号

平成30年版厚生労働白書
障害者や患者を支える社会を実現
企業と健保組合の取組事例を紹介

厚生労働省は9日の閣議に、平成30年版厚生労働白書を報告した。「一億総活躍社会」の実現に向け、障害者、難病患者、がん患者などが職場や地域などのあらゆる場で最大限に活躍できる社会の実現をテーマに取り上げた。今回の厚労白書は越年で、1年9か月ぶりの公表となった。これは、多くの行政機関で障害者を職員として雇用する人数の不適切な計上があり、法定雇用率が達成されていない状況が長年にわたって継続した案件が発覚したことなどが影響した。

30年版厚労白書は、第1部として、▽障害や病気を有する者などの現状と取り組み▽自立支援に関する国民の意識調査▽障害や病気を有する者などを支える現場の取り組み事例▽包摂と多様性がもたらす持続的な社会の発展─の4つの章で構成。第2部では、年次行政報告として、医療、年金、介護、健康づくり、障害者支援など政策課題への対応をまとめている。

障害者の状況をみると、障害者の総数(推計)は963.5万人で、人口の約7.6%に相当する。そのうち、身体障害者は436万人、知的障害者は108.2万人、精神障害者は419.3万人となっている。民間企業における障害者の雇用者数は53.5万人、実雇用率は2.05%といずれも過去最高を更新した。

また、がんの推計患者数は、2017年に約31万人と、1999年の約26万人と比べ増加しているが、医療技術の進歩などにより生存率が向上し、病気によっては治癒後の経過が良くなるケースも多く、病気を有しながらも体調や症状などに応じて自立した日常生活や社会生活を営むことが可能となっている。がん患者・経験者の就労状況をみると、全体の47.9%が勤務を継続しており、働きながら治療を受けられる可能性が高まっている。

自立支援に関する国民の意識調査では、「職場に障害や病気を有する者(本人を除く)がいる」と回答した者に対し、職場への影響を聞いたところ、「仕事の進め方について職場内で見直すきっかけとなった」との回答が最も多く、「職場の両立支援に対する理解が深まった」、「自分のライフスタイルや働き方を見直すきっかけとなった」などが続いた。

障害や病気を有する者などを支える現場の取り組みでは、治療と仕事の両立支援・健康づくりの取り組み事例として、働き方改革や健康増進対策を企業と健保組合が一体となって推進するSCSK健保組合とSCSK株式会社、健康白書の発行や健康マイレージ制度などの活動を企業と健保組合が一体となって推進する花王健保組合と花王株式会社が紹介されている。

包摂と多様性がもたらす持続的な社会の発展については、①障害や病気を有する者などの本人②身近にいる者③その他の者─の3つの視点から、どのような取り組みが必要となるかを整理した。

このなかで、③その他の者に対する取り組みでは、「誰もが支え・支えられる地域共生社会の実現に向けた地域づくりの取り組み強化や支援施策の周知が必要」と指摘するとともに、就労継続や社会参加など様々な選択肢を用意し、それを支える仕組みを構築していくことが、お互い支え合い、多様性を尊重し包摂する地域共生社会、安心して暮らせる社会の実現につながるとの方向性を示している。

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