健保ニュース
健保ニュース 2019年6月下旬号
厚労省が医療保険者向け説明会
オンライン資格確認の準備作業
保険者メリット 過誤請求、証類発行の軽減
厚生労働省は17日、東京・大田区産業プラザで、健保組合関係者などを対象に「オンライン資格確認等システムの導入並びに医療保険者等向け中間サーバー等の更改に関する説明会」を開催し、保険者の準備作業などを解説した。
今国会における改正健保法等の成立を受け、令和2年度末から順次、マイナンバーカードや被保険者証を用いて医療機関等の窓口で加入者の資格をオンラインで確認する仕組みが導入されることとなり、これと合わせて、2年6月にマイナンバーを活用した情報連携のための中間サーバーの更改も予定されている。
こうしたことを踏まえ、厚労省保険局保険課の健保組合担当官の藤岡雅彦係長がオンライン資格確認の基本構造や導入メリット、中間サーバーの更改などを説明した。それによると、オンライン資格確認が稼働する前提として、加入者のマイナンバーが保険者に提出されることを必須とし、そのうえで、保険者は新規加入者に被保険者証を発行する。これまでと大きく変わる作業として、保険者は全加入者に個人を識別する2桁の被保険者番号を付番し、資格取得日や氏名、生年月日などの情報を社会保険診療報酬支払基金・国民健康保険中央会が運営する中間サーバーにシステム登録を行うことになる。
登録されたデータが支払基金・国保中央会で資格履歴を一元的に管理するオンライン資格確認システムに格納されて、オンライン資格確認の準備が整うとした。
実際の利用現場では、医療機関等は、患者が提示したマイナンバーカードや被保険者証をもとに支払基金・国保中央会への照会を通じて資格を確認する。審査支払機関が保険者に送付するレセプトも資格確認システムを介して資格確認を実施し、「ポイントは医療機関、審査支払機関の2か所で資格確認作業が行われること」と指摘した。
なお、初めてマイナンバーカードを被保険者証として使用する場合は、加入者がマイナポータル上で、カードの電子証明書と自分の資格情報の紐づけ作業が必要となる。
オンライン資格確認のメリットには、過誤請求の改善と限度額適用認定証など各種証類の発行業務の軽減をあげた。
過誤請求については、審査支払機関で資格確認をした結果、加入する保険者が替わっており、新たな資格を取得してからの受診が判明した場合は、レセプトの送付先を新保険者に振り替える。資格の異動前後にそれぞれ受診していた場合は、新旧保険者にレセプトを分割して送付する。
正しい資格が登録されておらず、審査支払機関で振替・分割ができなかったレセプトについては、旧保険者にいったん送付され、その後、旧保険者でオンライン資格確認システムを通じて振替先となる保険者情報を取得し、新保険者にレセプトを振り替える仕組みを検討している。
振替・分割の対象となるレセプトは、「給付割合が同じで金額に差異が生じないことが前提」の保険単独レセプトで、公費併用や高額現物レセプトは対象外となる。高額療養費制度の適用区分は標準報酬月額にもとづき決定されるが、「同じ標準報酬月額で保険者を異動するとは限らないので、これについては審査支払機関では判断できない」と述べた。
保険者が現在発行している各種証類については、被保険者証や高齢受給者証、限度額適用認定証などのデータを資格確認システムに集約し、保険者における証発行業務の軽減につなげる。
今後のスケジュールは、今年7月から2年6月頃までに保険者システムを改修し、7月頃から全加入者に2桁番号を付番する。この作業が終わって来秋以降、オンライン資格確認用のデータの初期登録を行う。
初期登録作業と並行して、2年10月から既存の加入者について保険証の切り替え業務を始めるが、オンライン資格確認の導入後も従前の保険証を継続使用するかどうかを保険者で判断する。3年4月以降の新規加入者には2桁番号の付いた保険証を発行する。
マイナンバーカードによるオンライン資格確認は3年3月から、保険証によるオンライン資格確認は同年5月からスタートさせる。
2桁の付番については、「保険者全体の共通ルールを設けることは予定していない。保険者ごとに付番ルールを決めて運用する」との方針を示した。
2桁番号付きの新様式の保険証に切り替える場合は、従前の保険証の回収と廃棄が必要とし、「保険者規模によっては新たな保険証を配るよりも回収・廃棄の業務量の方が大きくなるので、保険者規模を踏まえながら検討してほしい」と述べた。
オンライン資格確認の導入後は、既存または新様式の保険証、さらにマイナンバーカードと3種類が併存して使用されるが、「最終的にはマイナンバーカードによるオンライン資格確認に集約していきたい」との方針を示した。