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健保ニュース 2019年5月下旬号

改正健保法等が成立
被扶養者要件は原則国内居住

「医療保険制度の適正かつ効率的な運営を図るための健康保険法等の一部を改正する法律」(改正健保法等)が15日の参院本会議で自民、公明、立憲民主など与野党の賛成多数で可決、成立した。

改正健保法等の内容は、▽被扶養者の要件の見直し▽オンライン資格確認の導入▽社会保険診療報酬支払基金改革▽NDBと介護DB等の連結解析▽高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施─などを柱とする。

被扶養者の要件については、来年4月1日から健康保険が適用される範囲を原則、国内居住者に限定する。日本に生活の拠点がない家族まで健康保険の給付を受けることができる、現行の在外被扶養者に関する課題解決の一環として要件を厳格化したうえで、留学や海外赴任への同伴は、例外的に「日本に生活の基礎がある」とみなして、引き続き被扶養者として認定する。例外となる者の範囲は省令で規定し、要件の適否に関する解釈通知を保険者に提示する。

また、国内に居住していても医療滞在ビザなどで来日した者は、被扶養者の適用対象から外す。これらの除外対象も省令で規定する。

オンライン資格確認の導入については、被保険者証の替わりにマイナンバーカードを利用できるようにし、医療機関等の窓口で、カードのICチップの情報を専用機器で読み取り、資格情報を一元管理する支払基金と国保中央会への照会を通じて、被保険者の資格を確認できるようにする。施行日は、改正法の公布日から2年以内に政令で定める日としており、来年度中の稼働をめざす。

被保険者証でもオンライン資格確認を可能とし、その前提として被保険者記号・番号を現行の世帯単位から個人単位化することで、個々人の資格を管理できるようにする。

オンライン資格確認の導入により、保険者を異動して資格喪失後の過誤請求を削減し、保険者などの事務コストを低減する効果が期待されている。

ただ、医療機関等がオンライン資格確認を導入するか否かは任意となっており、導入を資金面で後押しする観点から、今回の改正法で今年10月1日に創設することとなった医療情報化支援基金により、システム整備のための初期経費を助成する。

医療情報化支援基金の規模は、今年度予算に300億円の国費を計上しており、このうち150億円を医療機関、薬局向けのオンライン資格確認関係の助成に充てる予定。支払基金に医療情報化支援基金を設置し、支払基金を通じて交付する。

支払基金改革は、都道府県ごとに設置している支部を廃止し、支部長が担っている権限を本部に集約する。支部廃止に伴い、支払基金の内部規程にもとづき、再来年の令和3年4月に本部の事務執行機関としての審査事務局(仮称)を都道府県に設置する。

審査委員会は引き続き都道府県ごとに設置するが、審査委員を委嘱する権限は支部長から理事長に移し、本部の直属に見直す。

審査結果の不合理な差異を解消するため、4年4月以降、職員によるレセプト事務点検業務を全国10か所程度の審査事務センター(仮称)に集約していく。これも内部規程で設置する。審査事務局の職員は、医学的妥当性を判断する審査委員の審査補助業務に重点化する。

保険者が支払基金に支払う手数料は、レセプト枚数を基準に設定されていたものを、枚数だけでなく審査の内容に応じて単価を変えるなど、審査内容も勘案して設定できるようにする。

衆参各院の厚生労働委員会はそれぞれ4月12日、5月14日に同法案を可決し、これと合わせて、法案に対する附帯決議も採択した。

衆参いずれの附帯決議も、後期高齢者支援金や介護納付金の総報酬割の導入などに伴い、健保組合の財政負担が増加していると指摘し、財政状況が厳しい健保組合への支援を検討することを政府に求めた。

また、今回の法改正に続き、2025年に団塊の世代が後期高齢者となることなどを踏まえ、少子高齢社会の進展を見据えた取り組みを早期に開始し、医療保険制度の健全な運営に努めることと提言した。

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