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ほっとひと息、こころにビタミン vol.79

精神医療の現場で注目されている「認知行動療法」の日本における第一人者の大野裕先生が「こころ」の健康についてわかりやすく解説します。

【コラム執筆】
日本認知療法・認知行動療法学会理事長
ストレスマネジメントネットワーク(株)代表
精神科医 大野 裕

上手に眠れない悩み工夫次第で解決も

上手に眠れないで悩んでいる人は少なくありません。睡眠不足が続くと、肥満や高血圧、糖尿病、脳卒中、心筋梗塞、うつ病など心身の不調のリスクが高まりますし、働く現場では業務効率が落ちたり事故が起きやすくなったりするなど、こころや体のさまざまな問題につながります。だからといって、生活リズムを整えようと考えて決まった時間に床に入るようにすると、緊張してかえって眠れなくなりやすいので厄介です。

睡眠のリズムをとるためには、入眠の時間ではなく、起床時間を一定にするとよいと勧められています。決まった時間に起きて朝日を浴び、朝食を食べることで、リズムが取れるようになるのです。

一方、夜は、できるだけリラックスして時間を過ごし、眠くなってから、静かな環境で床に入るようにします。床に入ってもなかなか寝つけないときは、一度起きて静かに時間を過ごし、眠くなってからもう一度床に入ります。

睡眠時間を気にし過ぎないことも大切です。睡眠の目的は、その日の疲れをとって次の日に活動できるようにすることです。適切な睡眠時間は人によって異なります。ですから、睡眠時間が短くても、日中に問題なく活動できていればよいくらいに、気軽に考えるようにしましょう。

翌日に疲れが残って生活に支障が出るときには、昼寝が役に立ちます。パワーナップ、つまり元気の出る昼寝といわれますが、昼食の後に15分から30分くらい座って昼寝をすると、午後のパフォーマンスが上がります。

こうした工夫をしてもうまく眠れないときには、専門家に相談してみてください。

大野 裕(ゆたか)

ストレスマネジメントネットワーク(株)代表。精神医療の現場で注目されている「認知行動療法」の日本における第一人者で、日本認知療法・認知行動療法学会理事長。著書に『マンガでわかる心の不安・モヤモヤを解消する方法』(池田書店)など。

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