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ほっとひと息、こころにビタミン vol.74

精神医療の現場で注目されている「認知行動療法」の日本における第一人者の大野裕先生が「こころ」の健康についてわかりやすく解説します。

【コラム執筆】
日本認知療法・認知行動療法学会理事長
ストレスマネジメントネットワーク(株)代表
精神科医 大野 裕

SNSのコミュニケーションのコツ

マルハラという言葉を知って、驚きました。ラインやX(旧ツイッター)などのSNSの文章の最後に句点(。)がついていると、若い人たちは威圧されているように感じるそうです。それがハラスメントだということでマルハラという言葉が使われているといいます。

SNSは手軽に利用できて、写真や動画を添付できるなど、利点がたくさんあります。しかし、一方的に情報を送るだけなので、自分の思いとは違った受け取り方をされる可能性もあります。

マルハラがその一例で、私のようなデジタル移民は、文末には句点をつけるものだと思い込んでいます。ですから、句点のついてない文章が送られてくると、いい加減な人のような印象を受けます。同じ文章でも、受け取り方は、それぞれの人によって違います。威圧的なのか、いい加減なのか、文章だけでは分かりません。

私たちは、人と会話をしているとき、話されている文章の内容はもちろんのこと、口調や表情、態度、その場の雰囲気など、内容以外の多くの事をもとに話の内容を理解し、気持ちを感じ取っています。SNSが手軽に利用できるのは、そうした多くの要素を排除して文章だけを送るからです。しかし、送られる情報が少ないために、受け取る人の主観的な判断が入りやすくなります。

ですから、できるだけ思いやりの言葉を添えるようにしたり、大事な内容を伝えようとするときには、SNSで連絡した後に直接話をしたりするなどの工夫をする必要があります。また、受け取ったSNSの内容が気になるときには、これも直接話をして、問題があれば解決していくようにすることが大切です。

大野 裕(ゆたか)

ストレスマネジメントネットワーク(株)代表。精神医療の現場で注目されている「認知行動療法」の日本における第一人者で、日本認知療法・認知行動療法学会理事長。著書に『マンガでわかる心の不安・モヤモヤを解消する方法』(池田書店)など。

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